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脆弱なコミュニティーへの保健医療・教育支援プロジェクト(SHEC)

プロジェクト案|ドナー募集中 2002年9月現在
プロジェクト概略
プロジェクト名 脆弱なコミュニティーへの保健医療・教育支援プロジェクト
該当分野 少数民族帰還及び民族和解
目的 帰還者居住区と周辺コミュニティーにおける学校・診療所の再建を通じた、コソヴォにおける持続可能な紛争後の平和構築と人間開発プロセスの支援
対象受益者 コソヴォ内の少数民族、帰還民、帰還予定民のコミュニティーおよび周辺の多数民族コミュニティー
実施機関 NGO、地域社会組織との協力をとおして実施
プロジェクト
実施期間
2002年8月〜2003年10月
プロジェクト
総予算
3,550,000米ドル

背景

紛争後のコソヴォの状況は新しい、繊細な局面へと推移しており、コソヴォ暫定自治政府(PISG)は国連安保理決議1244に基づいて権能や自治権を拡大し始めている。UNDPを含む国際社会は、同自治政府への支援を行うことでコソヴォに前向きな成長と変化をもたらす風潮を築かねばならないという新たな課題に直面している。

持続可能な開発に向け、コソヴォが望ましい方向に進展する上で、満たすべきスタンダードあるいは達成基準がある。難民・避難民の帰還及び社会への再統合の問題がその一つである。コソヴォの全ての住民は、コソヴォに留まる権利、コソヴォで所有する権利、またコソヴォに帰還する権利を持っている。全ての民族がこうした権利を持つと同時に、平凡で公平な生活を営む機会を得る権利を持つ。帰還と再統合のプロセスは確実に実施されるべきであるが、こうしたプロセスは、人々の安全、帰還後の生活の持続可能性、公共サービスへの平等なアクセスが保証されない限り達成できない。

UNDPはコソヴォで実施してきた活動内容を見直した結果、これらの優先課題を踏まえたプロジェクトをいくつか準備した。教育と保健医療サービスは、基本的な人権の主要要素であり、見過ごされるべきではない。我々は、帰還民・帰還予定民のコミュニティー、及び周辺の多数民族コミュニティーによる、これらのサービスへの公平なアクセスを実現することを主要目標とする必要がある。

脆弱なコミュニティーと周辺の多数民族住民のコミュニティーにおける教育・保健医療施設の復旧ニーズと相まって、全ての民族の帰還と再統合の問題が、コソヴォの社会経済開発、平和構築、住民が正常な生活を取り戻す上で著しい障害になっている。

これらの目標に向けてUNDPが抱く新たな開発のヴィジョンは、紛争後の復旧及び復興支援が継続される一方で、キャパシティー・ビルディングや信頼醸成のためのプログラムをとおして、より長期にわたる持続可能性、全ての民族の社会への統合、市民社会の強化を追求していくものである。

UNDP _ 帰還支援: 教育と保健医療への公平なアクセス

UNDPは、少数民族の帰還と社会への再統合の問題がコソヴォの将来を語る上で極めて重要と考えている。UNDPによる社会再統合に向けた取り組みは、脆弱な人々とその周辺コミュニティーが基本的な公共サービスを受け、また、教育・保健医療サービスを受けられるようにするための取り組みと同時に実施される。こうした開発目標は、次の点を促進する上で役立つ。

1. 平和と民族間の寛容性の促進
2. 帰還の機会を増進し、周辺コミュニティーが帰還民と社会・経済問題に係る対話にとりくむことで、異民族住民が共通の未来に向けて考えるようになる。
3. コソヴォ住民の信頼関係の醸成と能力強化

UNDPがこれまでの支援経験から学んだこととして、紛争によって影響を受けた少数派グループは、安全が保障され、持続可能な生計への見通しがたつという条件がととのえば、自分達の故郷に希望して帰還する傾向がある。

UNDPは、コソヴォにおけるこれまでの関連施設の復旧支援を行ってきており、また、世界中で人権の強化をとおした紛争予防に取り組んできた実績をもっている。このことを踏まえると、UNDPが引き続き教育・保健分野でのイニシアチブを発揮することはごく当然ともいえる。

プロジェクトの構成

学校再建:プリシュチナ市、ジラン市、ペヤ市

再建を必要とする学校をまとめた最新リストに掲げられた教育省とユニセフの見解によれば、少数民族の住む地方の市町村に帰還民を受け入れることのできる新しい学校が著しく必要である。アルバニア系コソヴォ住民の学校の80%以上が復旧している一方、少数民族の学校では4分の1以下しか復旧していない。

診療所再建:プリシュチナ市、ジラン市、ペヤ市

一次医療へのアクセスが依然として大きな課題となっている。これは特に、少数民族の人々が、救急あるいはその他の医療サービスを受けるために多数民族の住む地域の診療所に安心して通うことが出来ないことに関係している。

平和と民族間の寛容性の醸成に向けた地域社会訓練

地元NGOは、全ての民族の若者のための平和、寛容、人権に関する教育を開始している。本プロジェクトでは、これらのNGOと共に、またコソヴォ人から成る「平和のための国連ボランティア」との特別な協力によって、平和、寛容性、人権尊重に関するユース・キャンプ、トレーニング等を教師や生徒を対象に開催する。

教育・保健医療カリキュラムへの言語訓練の統合

コミュニケーションはコソヴォにおける難民及び避難民の帰還、民族和解そして社会再統合プロセスにおける貴重な鍵である。少数民族グループは周辺の多数民族の用いる言語を習得する必要があり、そのための支援を必要としている。

プロジェクト戦略

本プロジェクトは、UNDPがこれまでに実施してきたコソヴォ学校再建プログラム(SRK)、コソヴォ医療再建プログラム(HRP)を含む再建支援プロジェクトを通じて培われた経験とパートナーシップを基に実施する。

本プロジェクトでは、学校と診療所の再建を直接実施すると同時に、民族和解プロセスへの支援と、弱い立場にある人々が正常な生活をとりもどすための支援を行う。本プロジェクトが促進する民族和解プロセスによって、帰還に関わる問題は全ての側面から取り組まれることとなる。そのためUNDPが他に実施する住居再建、雇用創出プロジェクトと重要な関係を持つこととなる。

本プロジェクトによって以下を達成する。

1. 5軒の学校の再建(3初等学校、2中等学校)。各校とも4つの教室からなり、2,000名以上の生徒が利用する。
2. 5箇所のアンビュランタ保健センターの再建(ペヤ地区1箇所、ジラン地区2箇所、プリシュチナ地区2箇所)。地方及び帰還民コミュニティーの50,000名以上の住民に対して一次医療を供給可能な基本的な医療機器を設置
3. 各地区における民族和解と帰還民の社会統合を促進するため、3種のトレーニング・ワークショップを実施することで、異民族間の平和と寛容性に対する地域社会の取り組みを強化する

教育と保健医療を通じて促進される民族和解のプロセスへの地域社会及び市民社会による参加は不可欠である。コソヴォの将来を構築する上で彼ら自身が中心的役割を担えるよう、地域社会と地域団体の強化に向けた支援を行う。

パートナーシップ

教育、科学技術省、保健省を含む主だったパートナーとの協力関係が確立されている。国際NGO、地方自治体、地域の利害関係者との調整についてもプロジェクトの実施を通して達成される。

UNDPの持つパートナーシップは以下を可能にする。
− 複数機関を調整する能力
− 情報、調査、分析
− 信頼醸成及びキャパシティー・ビルディングを目指す人間開発の視点からの難民・避難民帰還への取り組み
− 信頼できるNGOと市民社会へのアクセスとパートナーシップ
− UNDP本部と南東欧地域サポート・センター(在スロバキア)からのプロジェクト後方支援体制

予算

予算項目 米ドル
1. 少数民族と周辺社会への5軒の学校再建支援
1,500,000
2. 少数民族地域と周辺社会への5箇所の保健センター(アンビュランタ)再建支援
1,000,000
3. 平和と寛容促進のためのトレーニング
250,000
4. 言語トレーニング
100,000
5. メディア・公共宣伝
50,000
6. 人件費(国際スタッフ&ローカルスタッフ)
450,000
7. 機材費等
200,000
総プロジェクト予算 3,550,000

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