国連開発計画（UNDP）駐日代表事務所

TICAD IVの重点分野：明るい展望とアフリカのオーナーシップを背景に

　2003年に開催されたTICAD III以降、多くのアフリカ諸国で、政治の安定、ガバナンスの強化、国内総生産(GDP)の増加など、前向きな変化の兆しが見えてきました。それに伴い、貿易、投資、観光など、アフリカが持つ可能性に世界の目が向けられるようになりました。アフリカでは、これらの機会を活用することで、実質的かつ持続的な経済成長を促し、貧困を削減して人々の生活を向上しようという機運が高まりました。

　一方、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成に向けた進捗状況をみると、後発開発途上国、内陸開発途上国、小島嶼開発途上国は深刻な課題に直面しています。特に、サハラ以南のアフリカでは依然として、貧困、失業、人口の急激な増加に歯止めがかからず、農業の低生産性、気候変動、HIV/エイズやマラリアなどの感染症など、開発課題が山積みとなっています。このままではサハラ以南アフリカでは、MDGsのほとんどすべての目標が達成困難であると懸念されています(国連ミレニアム開発目標報告2008年版)。

　前向きな兆しをさらなる飛躍への確かな足掛かりとし、未だに山積する開発課題に対応すべく、アフリカ諸国による主体的な取り組みも強化されています。2001年にはアフリカ連合(AU)首脳会議で「アフリカ自身によるアフリカ開発のためのイニシアティブ」(NEPAD)が採択され、アフリカがオーナーシップを持って貧困削減、持続可能な成長と開発、世界経済への統合を目指す、というアフリカ諸国を主体としたパートナーシップの枠組みが構築されたのです。

　TICAD IVでは、近年のアフリカの発展と、NEPADが打ち出した「オーナーシップ」という開発理念を背景に、以下の3つを重点事項として、今後のアフリカ開発支援の方向性として「パートナーシップ」を議論しました。

1. 成長の加速化
2. 人間の安全保障の確立
   ミレニアム開発目標の達成
   平和の定着とグッド・ガバナンス
3. 環境・気候変動問題への対処