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世界中での活動実績

UNDP / 日本WID基金  
 
 

危機予防と復興

国別

リベリア
女性の経済的エンパワーメント(承認額:$245,000)
リベリア:職業訓練センターで縫製技術を学ぶ女性たち

紛争後、一時的に非難していた場所から、または軍隊から、地元コミュニティに人々が戻る過程では、女性たちが重要な役割を果たしています。ところが、行政によるフォーマルな帰還、復員、コミュニティ復興のプロセスでは、女性の貢献や意思決定への参画は著しく制限されます。この段階で女性たちが十分に参画できないと、長期的な復興・社会作りにおいてジェンダー不平等を定着させてしまう危険性があります。 また、女性たちの識字率は非常に低く、学校教育を十分に受けていないため、生活に必要な技術を身に付けていません。したがって、多くの女性たちが家族の生計を支えるために、不安定なインフォーマル・セクターでの賃金労働に従事する傾向にあります。さらに、性暴力やジェンダーに基づく暴力など、深刻な人権侵害の被害者となっている女性もいます。当プロジェクトは、UNDPが既に実施している地域密着型の復興支援プログラム(Community-Based Recovery Programme: CBR)にジェンダーの視点を導入するための補完的プロジェクトとして、リベリアの女性たちが知識や技術を身に付けることで経済的エンパワーメントを図り、コミュニティレベルでの社会的再統合及び融和をジェンダーに平等な形で推進することを目的としています。

プロジェクトは、ジェンダーと開発省、NGO事務局、地域のコミュニティ、そして女性グループとのパートナーシップのもとで行われています。リベリアの二つの郡(BongとNimba)で、コミュニティの組織であるCorporative Credit Unions (CCUs: 共同信用組合)を母体として実施しました。具体的には、CCU管理委員会や女性グループを対象としたビジネス・スキル、マネージメント力を習得するためのワークショップを開催したり、職業訓練センターで女性や女児に読み書きなどの基本的知識を教えたりといった活動を行っています。技術を習得した女性たちには少額の融資を行い、零細企業の起業など収入源の確保につながる活動を支援しています。また、性暴力などの深刻な人権侵害の被害者となった女性や女児にカウンセリングを提供し、地元地域での社会復帰ができるように支援しています。こうした活動に参加した女性たちは、子供を学校に行かせることができるようになり、また、家族に十分な食事をまかなえることができるようになっています。

  • 技術支援・融資: CCUsの管理委員会及び10の女性グループを対象に、ビジネス・マネージメント技術のトレーニングワークショップを開催し、上記2郡の7地区にあるすべてのCCUsメンバー女性に少額の融資をしました。トレーニングを受けた女性グループは、融資を元手に零細事業やマイクロ・クレジットの施設を共同で立ち上げるなど、自分たちが決めた活動を行うことで、個々の女性の経済的自立だけではなく、地域の女性のための環境整備に貢献しています。
  • 職業訓練センターの設立: 既存の施設に必要な機材・道具を備え、女性や女児が読み書きなどの基本的な生活知識や、縫製などの職業技能を身につけることを目的とした職業訓練センターを設立しました。 現在、KpaiiとPantaの2地区で縫製技術のトレーニングが行われています。トレーニング修了後は、女性たちが自立して小規模ビジネスやワークショップを行えるように少額の資金を融資しています。
  • カウンセリング: 社会心理カウンセラーが紛争の犠牲者、とりわけ性的虐待やジェンダーに基づく暴力などの被害にあった女性・女児を対象に、個人・グループカウンセリングを行いました。紛争後の民族融和の促進にもつながり、地域の社会的統合や平和構築がより強化されています。

当プロジェクトは、融資を含め、活動全般をCCUを通して実施しています。コミュニティの住民が主体となって運営しているCCUと協力することで、マイクロ・クレジットを効率的に管理・運営できるばかりでなく、コミュニティ自体のオーナーシップを確保することができるのです。

ボスニア・ヘルツェゴビナ
男女平等法の実施に関する政府と市民社会の連携と能力開発 (承認額:$275,000)
ボスニア・ヘルツェゴビナ:
ジェンダー平等法のポスター

紛争後の復興過程にあるボスニア・ヘルツェゴビナでは、2003年にジェンダー平等法が制定されました。この法律は、教育、雇用、社会福祉など、多岐にわたる分野におけるジェンダー平等を目指し、また女性の意思決定過程への参画や女性に対する暴力の撤廃を推進しています。この流れを受け、当プロジェクトでは、このジェンダー平等法を実施に移すための制度、組織的能力、そして連携体制の構築を支援しました。

具体的には、まずジェンダー平等推進のためのナショナル・マシナリー(国内本部機構)を設立し、組織の能力構築を行いました。また、ジェンダー平等法を実施するためのガイドラインを策定し、連携体制を確立するための作業部会を立ち上げ、実施戦略を立案しました。そして、ジェンダー平等法を既存の法的プロセスや法的手続きの枠組みに統合し、施行を促しました。こうして、実質的なジェンダー平等推進体制を構築したほか、メディアなどを通じた啓発活動を行い、社会の意識向上やジェンダー平等法の認知度を高めました。また、バルカン諸国の地域会合も行い、ジェンダー主流化に関する知識ネットワークの形成にも貢献しました。目覚しい成果を受け、カナダなどのドナー国が追加支援を行いました。

* 当プロジェクトは、紛争後の復興過程という特殊な状況下における制度及び法的メカニズムの確立を包括的に支援した優良事例として高く評価されています。

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