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世界中での活動実績

UNDP / 日本WID基金  
 
 

民主的ガバナンス

国別

アルバニア
女性に向けられる暴力―もはや家庭内だけの問題ではない (承認額:$275,000)

2007年6月、アルバニア政府は家庭内暴力(DV)防止法を制定しました。法律を確実に執行するためには、戦略、行動計画、実施機関のキャパシティ(能力)が必要です。そこで、当プロジェクトでは法律に対応するための政策改定、法律の施行、そのために必要な関係機関の能力向上、そして啓発活動を通して、家庭内暴力(DV)撤廃に向けた支援を行っています。

アルバニア:
クケスで行われた家庭内暴力撲滅デー

実施にあたっては、アルバニアの中央・地方政府、女性NGO、メディア、UNFEM, UNFPA, UNICEF, IOMとパートナーシップを組み、現行の政策の見直し、法の執行、被害女性の保護・救済、啓発活動の計画策定を中心に支援しました。まず、家庭内暴力防止に向けた国家戦略と行動計画を策定し、執行のための政策環境を整えました。さらに、MOLSAEO(Ministry of Labour, Social Affairs and Equal Opportunities)と県レベルのジェンダー担当官が協力して、警察や司法関係者、保健や教育などの公共サービスに携わる特に地方レベルの行政関係者を対象に、新法の理解を深めるためのワークショップを開催し、法の確実な施行のための協力体制を構築しました。一般市民に向けても新しい法律に関する啓発活動を行い、家庭内暴力そのものに対する意識の変革を促しました。

  • 法的・社会的環境整備: 法制定後、それを実行するための法的枠組み、家庭内暴力防止に向けた国家戦略と行動計画の草案の作成を支援しました。この国家戦略は、DV犠牲者を保護するためのシェルターなどの社会サービスの提供、司法システムの再構築、DV防止教育や啓発プログラムの実施などを盛り込んでいます。また、MOLSAEO内にDV撲滅セクションを設置し、家庭内暴力禁止法を確実に執行し、国家戦略を実行するための支援をしました。その結果、国家開発戦略の一部にDV防止のための国家戦略及び行動計画の内容が組み込まれるなど、DV防止に向けての政府による新たな取り組みが始まっています。
  • アルバニア:
    ティアラで開催された家庭内暴力防止のための警察向けトレーニング
  • 能力構築: 国連機関やINSTAT(Albania Institute of Statistics)とのパートナーシップのもと、国内初のDV調査を実施し、ベースラインを打ち出します。また、県レベルのジェンダー担当官及びMOFSAEOと緊密に協力し、国内のほぼ全域でDV防止に関するワークショップを開催しました。警察、司法関係者、保健や教育などの地方の行政関係者、NGOsの代表者など30人が参加し、家庭内暴力防止法についての理解を深め、関係者間の連携・調整が不可欠であることを確認し、協力体制の基盤を作りました。そのほか、医療保健業務従事者向けの「DVハンドブック」を作成し、トレーニング・セッションを行いました。同様に、警察官のためにも「DV撲滅マニュアル」を作成し、トレーニング・セッションを開催しました。これまでに計140人の警察官が訓練を受けました。
  • 啓発活動: 女性のためのカウンセリング・センター及び社会サービス(WCC)がリーダーシップをとり、家父長制が根強く、未だに貧困状態にあるアルバニア北部のクケスと周辺地区でDV防止のための教育と啓発キャンペーンが行われました。村の中学校では、家庭内暴力撲滅デーを設け、ロール・プレーイングや作文コンテスト、アート、パネルディスカッションなどを行いました。クケスの文化センターではトークショーを行い、DVを題材にしたテレビやラジオプログラムをオンエア‐するなど、学生だけでなく家族やコミュニティ全体を巻き込んで啓発活動を行いました。その他、ドキュメンタリー、 “家庭内暴力は家族と社会を傷つけます”というキャッチ・コピーや、アルバニアの国会議員と共に“沈黙も暴力である”とのメッセージを謳ったテレビ・コマーシャルを制作し、放映しました。国際家庭内暴力撲滅デーにあわせ、DV撲滅に関するパンフレット1000部を配布したり、DV問題とジェンダー平等に関する記事を新聞に掲載するなど、メディアを最大限に活用しました。また、ジャーナリストを対象にジェンダー平等、リプロダクティブ・ヘルス、人権などに関するトレーニング・セッションを実施し、ジェンダー問題に関する理解を深めてもらいました。
ウガンダ
地域開発計画:ジェンダー主流化部門 (承認額:$300,000)
ウガンダ:コンフィデンス・ビルディングのための
グループワーク

ウガンダは、「1999−2004年:女性に関する国家行動計画」や1997年に制定された「国家ジェンダー平等政策」など、国家レベルではジェンダーに関する十分な政策枠組みを設定しています。一方で、国家レベルでのジェンダー政策と、地方自治体法を含む地方分権化に関する現行の法律は結びつきが弱く、十分に連動していませんでした。当プロジェクトでは、こうしたギャップを解消するため、地方やコミュニティレベルでの政策・事業におけるジェンダー主流化を目的としました。

実施にあたっては、草の根コミュニティの女性組織、地方・中央政府、ローカル・ガバナンスに専門性を持つ国連機関などと戦略的なパートナーシップを組み、「ジェンダー平等基本法」や「国家ジェンダー政策」と、他の開発政策や法的枠組み(例:地方自治体法)との間に政策的な整合性や一貫性を確立し、共通の枠組みを構築するための政策支援を行いました。また、地方レベルのガバナンス及び開発プロセスにジェンダーを主流化させるための政策ツールを開発したほか、ジェンダー平等推進フォーラムを設立し、国レベルでジェンダー主流化の中心的役割を担うジェンダー・労働・社会開発省や、地方自治体の組織的能力の構築を支援しました。さらに、地方レベルの開発政策・事業策定プロセスにジェンダーの視点を組み込むために「ジェンダー予算」の手法マニュアルを開発し、女性の議員やリーダーに研修を行いました。さらに、マニュアルは地方自治体の全職員必須の研修モジュールに組み込まれました。

  • 当プロジェクトにより作成された「ジェンダー予算」のトレーニング・マニュアルはこちらから: For lower local governments: (GB traineers) (GB trainers) / For higher local governments: (GSB trainees) (GSB trainers)

* 当プロジェクトは、その支援の効果と貢献度・持続性が認められ、オランダ大使館、UNIFEM, UNFPA, UNDPより$15,500の追加的資金供与を受けて活動を更に拡大しました。

エクアドル
女性のリーダーシップと市民権 (承認額:$313,760)

エクアドルでは、指導者の立場にある女性や女性議員の数が少なく、政策立案や意思決定過程への女性の参加は限定されていました。また、公共政策・事業においても、立案・実施段階でジェンダー格差への配慮が十分にされていませんでした。そこで、当プロジェクトでは、国政選挙のタイミングに合わせて、女性議員の数を増やすための「割り当て法」の導入支援や女性が選挙に出馬するにあたってのトレーニングや当選後のサポートを行いました。また、さらには、女性指導者育成プログラムを通して、議員など、女性リーダーを目指す女性2,450名以上を対象にリーダーシップ・トレーニングを行いました。同時に、メディアや国内の女性ネットワークなど横のつながりを活用して、女性有権者の政治参加を促進するための全国キャンペーンを実施し、意識の向上を図りました。

  • 政策立案者向けのハンドブック「女性の人権ガイドブック」を作成しました。

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