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世界中での活動実績

UNDP / 日本WID基金  
 
 

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グローバル

ケア・エコノミー: 政治的・経済的視点から (承認額:$390,000)

当プロジェクトは、有償・無償のケア労働の社会や経済における役割についての理解を深めることで、経済・社会政策にジェンダー平等の視点を主流化することを目的としたリサーチ・プロジェクトです。リサーチの結果は、UNDPが世界各国で行っている政策支援(マクロ経済政策を含むあらゆる開発政策への提言や政策立案にかかるサポート)においても活用される予定です。

実施にあたっては、UNRISD(国連社会開発研究所)を通して6カ国でリサーチを行い、研究結果は報告書として発表・出版されます。
  • 報告書1: 経済的・人口・社会的構造とこれまでの道筋 (デスク・レビュー)
  • 報告書2: 労働・介護政策やマクロデータを生活時間調査によって分析
  • 報告書3: ケア・サービスを行っている公的セクター、市場、非利益機関に関しする分析
  • 報告書4: ケア労働者グループと、彼らの労働条件および介護のニーズに関する分析
  • 報告書5: リサーチの主な結果の総括と分析
  • 報告書6: 各国の研究結果の比較分析
  • 研究結果報告書はこちらからご覧になれます。
ジェンダーと海外送金:ジェンダーに配慮した地域開発 (承認額$250,000)

現在、世界でおよそ1億7500万人もの人々が出稼ぎ労働者として外国で働いています。その約半分は女性だと言われています。出稼ぎ労働者は母国に残してきた家族に送金していますが、この「海外送金」の貧困削減やコミュニティ・レベルの開発へのインパクトが近年注目されています。2007年から始まった当プロジェクトは、「海外送金」を有効に活用し、家族の生活水準の向上や、地元地域の発展に結び付けることを目的とし、「海外送金」に関する政策の整備や、地域開発のジェンダー主流化を推進しています。

具体的な方策として、海外送金の活用法の現況、家族のニーズ、地元地域の環境を調査し、その分析結果に基づいて、政府や国連機関、世界銀行、国際移住機関(IOM)、NGOsなどで構成する「ジェンダーと送金運営委員会」で政策協議の場を設け、政策提言を行います。また、人の移動や送金の流れに関する政策・事業のジェンダー主流化を進めるために、中央政府や地方政府に情報や支援を提供します。また、「海外送金」がコミュニティの発展にもつながるように、出稼ぎ労働者の家族が必要としている設備や生産資源へのアクセスを提供するための環境構築も支援しています。このプロジェクトは、アルバニア、ドミニカ共和国、レソト、モロッコ、フィリピン、セネガルの6カ国で実施されています。

ジェンダーとMDGs (承認額:$286,667)
ケニア:ジェンダーとMDGs

「ジェンダーとMDGs」プロジェクトは、UNDP/日本WID基金のほか、UNDP貧困課題別信託基金(UNDP Poverty Thematic Trust Fund)、及び英国国際開発省(DFID)によるマルチ・ドナー・プロジェクトとして、国連女性開発基金(UNIFEM)によって実施されています。MDGプロセスにおけるジェンダー平等と女性のエンパワーメントの側面を強化することを目標に掲げ、国連機関、関連政府機関、ドナー国、NGO、そしてメディアなどとのパートナーシップのもと、モロッコ、カンボジア、ケニア、ペルー、キルギスタンの合計5カ国でパイロット・プロジェクト(試験的なプロジェクト)を実施しています。それぞれのパイロット・プロジェクトで得られた結果や知見、手法やノウハウは、ほかの国連機関や他国で応用され、MDGsにおけるジェンダー主流化に貢献しています。

  • モロッコ: モロッコ政府が積極的に全国セミナーやワークショップを開催し、2005年10月にはジェンダーの視点を初めて取り入れたMDG報告書を作成しました。また、MDGs達成に向けた政策を実施するには、ジェンダーに配慮したMDGコスティング(注1) が必要であることを政府自らが認識し、財務省主導でコスティング作業が行われることになったのは、当プロジェクトが当初予期していなかった重要な成果です。
  • キルギスタン:女性差別撤廃条約(CEDAW)、北京行動綱領、貧困削減戦略文書(PRSP)、MDGsへのコミットメントの度合いを測る統一ジェンダー指標が開発・実用化され、さらにはモニタリングの手順も設定されました。その一連の過程では、「女性・家族・ジェンダー問題に関する全国協議会」(the National Council on Women, Family and Gender Affairs)が主導的役割を発揮し、ビジビリティが著しく高まりました。ジェンダーの統一指標・モニタリング手順を用いて、MDGレポートとPRSPにもジェンダーの視点が取り入れられました。
  • カンボジア: 多角的繊維協定(MFA)が、縫製工場の女性労働者への生計にどのような影響を与えるかを調査・分析し、政府に報告しました。その結果、縫製工場の女性労働者への影響が配慮事項として国家政策課題に盛り込まれました。さらに、調査結果は、UNDPが支援する貿易改革の影響調査にも統合されました。雇用に関するジェンダー指標を国家開発戦略に反映させるための取組みが強化されました。
  • ペルー:ジェンダーとMDGs
  • ペルー: 全国規模で活動する女性組織と緊密に協力し、キャパシティ・ビルディング(能力向上)と啓発活動を行った結果、若者、女性組織、研究者、地方・地域政府職員などのグループを中心に、ジェンダーとMDGsについての社会的な関心と認識が広がりました。また、中央レベルと地方レベルでの政策立案のために、女性の権利に関する国家的取り組みとMDGsの関係についての研究がなされました。
  • ケニア: プロジェクトに並行して起こった多くの関連出来事との相乗効果により、以下のような成果を達成しました。1)2002年の選挙で、ジェンダー平等と女性の権利の保障をより強く約束する政権が誕生。2)新政権は貧困削減戦略(PRS)の見直しを行い、雇用創出を含めた経済復興戦略として修正。3)MDGsコスティングを先導するため、ケニア常駐の国連機関及びミレニアム・プロジェクトがジェンダー平等の視点をより大きな分析枠組みに主流化する機会を創出。この他にも、ナイロビの女性たちによるミレニアム・イニシアティブ(African Women’s Millennium Initiative)の発足を支援したり、女性問題・スポーツ・文化省と緊密に連携し、技術的アドバイスや様々なステークホルダーとの戦略会議を含む、ジェンダーとMDGニーズ・アセスメントに関する情報提供やサポートを行いました。また、ケニア女性メディア協会は、MDGsに関してジェンダーに対応した報告ができるようにジャーナリストのキャパシティ・ビルディングを行いました。

(注1)  現在MDGsのために資金が、2015年までに達成を可能とするような資金分配になっているかを分析し、それを基に、2015年の期限までにMDGs達成を実現するために必要となる追加資金を査定し、ドナー間でそれをどのように配分するか、また、どの国にどれだけの資金が必要であるかなどを図ること。また、そのプロセスにはジェンダー平等の視点を盛り込み、男女間に不平等な影響を及ぼさないような資金配分を図ること。

ジェンダー予算編成支援:貧しい女性に投資してMDGsを達成する (承認額:$495,000)
ジェンダー予算:モスクワで開催されたGSB研修インストラクター養成トレーニングのワークショップ

「ジェンダー予算(Gender Sensitive Budgeting: GSB)」とは、公共財源の分配が男女に与えるインパクトの違いを分析し、政府が限られた予算を有効活用して貧困削減やMDGsを実現することを目的とした政策ツールです。公共投資や福祉を含む公共サービスは、女性の社会経済的状況や健康状態に大きな影響を及ぼします。しかし、多くの国では女性は公共予算の編成に十分に参画していません。そこで、予算に関する意思決定に女性が参画すること、また、家庭内、コミュニティ、そして社会や経済における女性の様々な貢献を正当にし、予算に反映させることを目指し、参加型の予算立案を提唱しています。当プロジェクトは、以下の活動を通して、ジェンダー予算を途上国を含む国際社会に普及させることを目指し、特に地域や国レベルでジェンダー予算の専門家の養成と普及のためのツールの開発に注力しています。

  • 研修インストラクター養成トレーニングの実施: 途上国がジェンダー予算のイニシアティブを実施するにあたり直面する一番大きな問題は、国際的にもこの分野の専門家が少ないということです。そこで、アジアやアフリカなどの地域レベルでジェンダー予算についての研修インストラクター・グループを養成し、それぞれのインストラクターが自国や地域内のほかの国でも人材育成をできるようにしました。養成ワークショップ(Training of Trainers’ Workshop:ToT)は、モスクワ、マニラ、ダカール、そしてカイロで開催しました。こうして、途上国のジェンダー予算に関する人材需要に対応できるようにしました。
  • トレーニング・マニュアルの作成: 研修インストラクターを養成するためのトレーニング・マニュアルをロシア語、英語、フランス語、アラビア語で作成しました。ジェンダー予算に関する知見やノウハウをそれぞれの地域別にまとめました。
  • ジェンダー予算CD-ROMの制作: 英国サセックス大学のジェンダー研究所BRIDGEとのパートナーシップにより、ジェンダー予算に関する文献・レポート・トレーニングカリキュラムなどのツールを集めたCD-ROM「Cutting Edge Pack: Gender and Budgets」を制作しました。大量の情報をコンパクトなCD-ROMにまとめることにより、途上国を中心に世界規模での普及を実現することができました。
  • 歳入(租税、特に消費税、付加価値税などの間接税)に関する研究:米国アメリカン大学に委託し、イギリスや南アフリカの間接税などの事例を活用し、歳入面におけるジェンダー分析を行っています。

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