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『貧困削減に貢献するビジネス』に関するワークショップ(ジャカルタ)

日時:2007年2月
場所:ジャカルタ・インドネシア
概要:
1.ワークショップ開催の背景と目的

2006年10月、UNDPは日本政府の支援を得て、日本経団連と日本の企業を対象としたGSBのワークショップを東京で共催しました。約70の主要企業が参加し、世界の貧困削減のために日本企業がどのような貢献ができるのかについて活発な議論が行われました。2006年11月には、日本経団連が東京で開催した「国連機関との連携による対アフリカ・ビジネスの促進に関する実務者懇談会」にJETROと共に参加し、日本企業の対アフリカ・ビジネスの促進にGSBが果たすことができる役割について議論しました。その後、2007年には、UNDPインドネシア事務所が、ジャカルタジャパンクラブ(JJC)の法人会員である日本企業向けに、同地でGSBの活動に関する説明の機会を設けました。
また、GSBの商業的活動の可能性について、各企業により具体的なイメージを持ってもらうことを目的としたGSBワークショップが2007年2月に開催されました。同ワークショップでは、GSBのビジネス・モデルの紹介、特にUNDPと民間企業の提携が見込まれる4つの分野−1.バイオ燃料と再生可能エネルギー、2.農作物と流通システム、3.マイクロ・ファイナンスと保険、4.デジタル格差改善と生活向上事業−について、インドネシアの現状とGSBプログラムの適用可能性について発表と質疑応答がなされました。

2.GSB概要とインドネシアにおけるUNDPの活動

当日は、日本企業を中心として約15社、また開発援助機関から国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)、世界銀行、さらに現地新聞社等のメディア関係者が参加しました。
開会にあたり、在インドネシア日本大使館の岡庭氏は、「GSBはインドネシアの開発のみに留まらず、企業にとってもイメージの向上と営利活動という二重の意義がある」旨述べ、日本政府からの支援の姿勢を明らかにしました。

次に、UNDPニューヨーク本部でGSBプログラムの総括責任者を務めるサンジェイ・ガンディよりGSB概念の説明、UNDPインドネシア事務所で民間部門の開発への貢献の促進に(当時)取り組んでいた中村俊裕よりインドネシアでのUNDPプログラムの概要の説明がありました。続いて、UNDP日本人スタッフが、事業機会があると考えられる上記の4つの分野において貧困層が抱える課題、インドネシアにおける現状、そして企業にとっての事業機会やGSBとの協働の可能性について説明しました。

質疑応答(抜粋)

Q.

対象とされる“貧困”とはどの程度のものなのでしょうか。また、現在GSBプログラムはどの程度の経済状況の人々を対象と考えているのでしょうか。

A.

貧困の一般的な定義は1日1〜2米ドル以下で生活する人々を指します。GSBプログラムでは経済ピラミッドの最下層(購買力平価が1,500米ドル未満、)から第二層(2万米ドル以下)までの人々を対象と考えています。

Q.

未だに企業本来の事業と企業の社会的責任 (CSR)活動は別のものだと考えている企業が多いのが現状ですが、GSBはこの2つの兼ね合いをどのように捉えているのでしょうか。

A.

GSBプログラムに参加している企業でも、CSRの活動予算から始まった事業はいくつもあります。CSR活動として事業を開始し、GSBのビジネス・モデルへと事業が移行していくのが理想的なのではないでしょうか。UNDPのGSBプログラムは、企業のCSR活動がビジネス・モデルへと移行し成功する可能性があるかどうかを詳しく検討します。
例えば、マイクロ・ファイナンスは実際に利益をうみ出すことが可能なビジネス・モデルです。インドネシアでは、多数の銀行が主要事業としてマイクロ・ファイナンスを展開していくことに興味を示しています。

Q.

UNDPのGSBプログラムは、どのような支援を提供しているのでしょうか。

A.

UNDPは、企業のCSR活動をビジネス・モデルへと移行させるための提案と調査を通じ、支援を行っています。また、事業を展開する国においては、UNDP独自のネットワークを生かして農村部へのアクセスなどを支援しています。

3.ワークショップを終えてのまとめ

今回のワークショップは、これまでのGSB説明会や個別企業との懇談をおこなってきた結果、『貧困削減に貢献するビジネス』について検討意欲の高い企業の参加が中心となりました。GSBのビジネス・モデルを適用することによって、新規事業に参入するうえでのリスク軽減をどのように実施し得るかといった具体的な内容に関心が集まるとともに、一段進んだ議論が展開される結果となりました。多くの企業が自社の事業分野と今回提示された分野における関連性に着目しているとコメントし、今回のワークショップ参加を機に個別にGSB参加への検討を継続したいとの意思表明が得られました。今後、UNDPのGSBプログラムではこれらの企業と共に、より具体的なGSBモデルによる協同可能性についてさらに深く探ってゆく予定です。