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ヘレン・クラーク国連開発計画(UNDP)総裁来日報告

日時:2012年7月2日-4日

ヘレン・クラーク国連開発計画(UNDP)総裁は、外務省の招待を受けて、東北3県で外務省などの主催で行われた「世界防災閣僚会議in東北〜世界の英知を被災地に,被災地の教訓を世界に〜」に出席するために、7月2日より4日まで来日しました。

野田内閣総理大臣への表敬訪問
7月3日(火)、クラーク総裁は、仙台にて同じく会議に出席する野田佳彦総理大臣を表敬訪問しました。野田総理からは、会議開催にあたり、UNDPが共催者として様々な協力・支援をしたことに対する謝辞が述べられました。また、同会議で打ち出される重要なメッセージとして、人間の安全保障を基本とした強靭な社会構築や防災の主流化を挙げ、専門性と経験を有するUNDPと防災分野で協力していきたい旨述べました。クラーク総裁より、日本政府のUNDPに対する支援に感謝の意を表するとともに、防災はUNDPにとって重要な分野であり、昨年は60か国で成果を出した旨述べました。野田総理からは、UNDPは日本にとって重要なパートナーであり、アフガニスタン支援、ポストMDGs(2015年以降の国際開発目標)、第五回アフリカ開発会議(TICAD V)などでも引き続き協力していきたいとの発言がありました。これに対し総裁は、日本政府が2011年6月のMDGsフォローアップ会合に続き、本年のアフガニスタンに関する東京会合、2013年のTICAD V等の重要な国際会議をホストするなど、国際協力において主導的な立場を取っていることを称賛し、今後も連携を強化していきたい旨述べました。最後に、クラーク総裁は、本会議に合わせて刊行された冊子「強靭な社会づくりを開発の中心に:防災や回復力を高める復興への投資」を野田総理に手渡しました。

玄葉外務大臣と会談をするクラーク総裁(右)
©UNDP

玄葉外務大臣との会談及び大臣主催の夕食会
クラーク総裁は、7月3日(火)夕刻、玄葉光一郎外務大臣との会談を行いました。
玄葉大臣からは、開発における防災の主流化をUNDPと一緒に進めていきたい旨、発言がありました。クラーク総裁からは、UNDPが開発協力に際して強靭性の視点を重視している旨述べ、グローバリゼーションの影響で災害に対する脆弱性が高まっていること、気候変動や都市化によって災害が頻発し、規模の拡大が見られることを挙げ、防災分野をこれまで以上にハイレベルで議論していくことの重要性について述べました。同時に、日本が複合災害に見舞われたにもかかわらず内向きにならず、外に向かって教訓を発信していることを称賛しました。
会談と夕食会では、防災分野に加え、ポストMDGs、アフガニスタン、リオ+20のフォローアップ、ミャンマーなど、様々な重要課題についても意見交換が行われ、特に、玄葉大臣よりは、日本のミャンマーに対する今後の開発支援において、UNDPと協力していきたい旨、発言がありました。これに対し、総裁からは、喜んで日本と協力していきたいと応答しました。

開会式で挨拶をするクラーク総裁
©UNDP
玄葉外務大臣と展示を見学するクラーク総裁
©UNDP
石巻市分科会で議長を務めるライアン局長
©UNDP

「世界防災閣僚会議 in 東北」への出席
クラーク総裁は、7月3日(火)、「世界防災閣僚会議 in 東北」の開会式で、野田総理大臣、玄葉外務大臣に続いて挨拶を行いました。
また、パネル討論(2)「防災の主流化の為に求められることとは」のファシリテーターを務め、バズム・ニジェール外務大臣、シャオシェン中国民政副部長、近衛IFRC(国際赤十字・赤新月社連盟)会長によるスピーチならびにオブライ・カナダ外務大臣政務官、カズミン・フィリピン国防大臣、伊藤仙台市副市長、アシル・ナイジェリア外務大臣からのコメントが発表されました。本討論では、防災の主流化のためには、適切なガバナンス機構と財源の確保が必要であること、また防災をポストMDGsの要素として位置付けるべきことの認識が共有されました。

会議終了後には、玄葉外相、伊藤仙台福市長とともに、サイドイベントの会場に足を運び、UNDPやUNVの他、市民社会、地方自治体、民間企業のブースや展示を見て回りました。なお、UNDPのブースでは、国連人道問題調整事務所(OCHA)と共同で製作された世界の災害状況や防災の大切さを訴えるアニメーションや、紺野美沙子親善大使による2011年10月の東北被災地視察をまとめたビデオを上映しました。

7月4日(水)午前に一関市、石巻市、福島市の3か所に分かれて行われた分科会では、ジョルダン・ライアンUNDP危機予防復興局長が石巻市分科会「その日からの行動―緊急対応、復旧・復興―」の議長を務めました。災害後に必要とされる幅広い関係者の連携や、早期復旧のための課題について、ボロノフ・キルギス非常事態大臣、郡内閣府政務官、荒木NTTドコモ執行役員、東北支社長、コルネホ・エクアドル危機管理庁長官がパネリストとして各自の経験や教訓を共有し、それを受けて、マテンゲ・ケニア特別プログラム担当大臣、紅邑せんだいみやぎNPOセンター代表理事、ソンOCHAプログラム部長、杉本兵庫県防災監がそれぞれの立場や経験を踏まえてコメントしました。本分科会では、災害の知見の共有、緊急対応時や復興計画策定における被災した地域コミュニティや女性、社会的弱者など様々な立場からの意見集約、民間企業の緊急時・復旧時の支援ならびに復興への参画、各レベルの政府とコミュニティならびに復旧支援事業者間での情報共有、早期復旧の為の制度や機構を平時より整備することなどの重要性が再認識されました。

なお、同日午後に行われた最後の全体会合では、一関分科会の報告をしたワルストロム国連国際防災戦略(ISDR)、事務総長特別代表・防災担当、福島分科会の報告をした河田関西大学教授とともに、ライアン局長が石巻分科会の報告をしました。また、玄葉外務大臣による閉会宣言において、ポスト兵庫行動枠組の策定への取組みにあたり、ISDRのリーダーシップのもと、UNDPや世界銀行を始めとするマンデートと資源を有する国際機関との密接な連携をしていく旨、発言がありました。本会議の終了に際して発出された議長サマリーは、外務省のこちらのウェブサイトにてご覧いただけます。