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人間開発とは 「開発の基本的な目標は人々の選択肢を拡大することである。これらの選択肢は原則として、無限に存在し、また移ろいゆくものである。人は時に、所得や成長率のように即時的・同時的に表れることのない成果、つまり、知識へのアクセスの拡大、栄養状態や医療サービスの向上、生計の安定、犯罪や身体的な暴力からの安全の確保、十分な余暇、政治的・文化的自由や地域社会の活動への参加意識などに価値を見出す。開発の目的とは、人々が、長寿で、健康かつ創造的な人生を享受するための環境を創造することなのである。」
マブーブル・ハック
人間開発が扱うのは国民所得の増減に留まりません。人間開発とは、人々が各自の可能性を十全に開花させ、それぞれの必要と関心に応じて生産的かつ創造的な人生を開拓できるような環境を創出することです。人々こそがまさしく国家の富なのです。各々にとって価値ある人生を全うすることを人々に可能とする、選択肢の拡大こそが開発なのです。従って、経済成長は、開発にとって重要ではあるものの、人々の選択肢を拡大するための一つの手段にしかすぎないのです。 このような選択肢の拡大の基礎となるのが、人々が人生においてできること、なれるものの幅を広げること、すなわち人的能力(human capabilities)の育成です。人間開発のための最も基本的な能力は、長寿で健康な人生を送ること、知識を獲得すること、適正な生活水準を保つために必要な資源を入手すること、そして地域社会における活動に参加することです。これらの能力を獲得できなければ、そのほかの選択肢にも手が届かず、人生における多くの機会を逸してしまうのです。 経済物資や金融資産といった目前の課題によって忘れられがちですが、開発に対するこのような視点は、特に目新しいものではありません。哲学者、経済学者および政治的指導者等は古くから、開発の目的・最終目標として人間の福祉(well-being)を強調してきました。古代ギリシャにおいてはアリストテレスも「富は我々が追及すべき究極の善ではない。なぜなら富は他のもののための手段に過ぎないからだ」と述べています。 この「他のもの」を追求する過程で、人間開発は人権と一つの目的を共有しています。その目的とは人間の自由です。この自由は、能力を希求し、権利を実現する過程で必要不可欠なものです。人々には、選択の権利の行使と、人生に影響を及ぼす意思決定への参加の自由が確保されるべきです。人間開発と人権は、相互に強化し合い、全ての人々の福祉と尊厳の確保に、自尊心と他者に対する尊敬の念の醸成に貢献するものです。 人間開発報告書について |
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