貧困と労働:
この地球上に暮らす人間が100人だとしたら、全体の富の約90%を上位20人が消費している一方、下位20人の消費量はたったの1%に過ぎません!
失業、不安定な雇用形態、不当な低賃金雇用は、食料、保健医療、飲料水、エネルギーなど生きていくために欠かせないものを手に入れる能力に大きな影響を与えます。社会から疎外され取り残された人々はときに自尊心を失い、やがて地域の社会的、文化的生活からも排除されてしまう恐れがあります。収入が無いと人間の生活は大幅に制限され、貧困の悪循環に陥ります。つまり、仕事がなければ十分な収入が得られず、結果的に生計を維持し貧困から逃れることが事実上不可能になるのです。
この地球上に暮らす人間が100人だとしたら、そのうちの最も裕福な20人は最も貧しい20人の74倍もの収入を得ていることになります。
貧困と労働 ‐さらに詳しく説明すると‐
失業、不完全雇用、低賃金雇用、景気後退は貧困の主要な原因です。失業と不完全雇用の原因は、雇用不足ばかりでなく、仕事の内容に見合った適当な人材がいないことにもあります。低所得世帯に生まれた人は適切な教育を受けられないことが多く、結果として働き口を見つけること、自営業を営むこと、そして十分な報酬のある雇用にアクセスすることが困難な状況に置かれてしまうのです。読み書きができない人は、報酬の得られる仕事をどこでどのように見つけたらいいのかも分からないため、二重に不利な状況に置かれています。
貧しい人々は移動費が捻出できないため、仕事を探すための行動も制限されがちです。担保のない低所得の人々は、金融機関からは信用がないとみなされるため、適格な要件を備えていても、自ら事業を興すための元手を工面することができません。中には、女性が自分でお金を借りることや、夫・父親・兄弟の同意なしに財産を持つことすらできない社会もあります。また、一次産品の生産者や農家の収入が、貿易ルールや国際商品価格に大きく左右されることも無視できません。
資本の投機的な動きが、わずか数日のうちに何十年にもわたる経済成長や社会の進歩に壊滅的な打撃を与え、企業の従業員から新興の小規模事業者までも貧困に追いやることもあります。栄養失調は地球上の何百万もの人々の生産性を低下させます。自然災害は生計を立てるために何年もの間辛抱強く積み上げてきた努力を一瞬にして台無しにし、蓄えのない人々に致命的な打撃を与えかねません。また、電気やその他の住居設備を利用できないことは、所得創出の大きな妨げとなります。
官僚的規制や法律によって企業活動が阻害されることも考えられます。一方で、自由化と規制緩和がもたらす過剰な競争により、貧しく脆弱な起業家が淘汰されてしまう恐れもあります。社会給付に頼る失業者が、育児費用を賄うのに十分な賃金が支払われない職をあきらめざるを得ないこともあるでしょう。不安定で生産性の低い低賃金の雇用形態は、貧しい勤労者層を生み出します。雇用と生計はまた、経済成長の規模やパターンにも大きく左右されます。
雇用と生計手段を創出するためのあらゆる戦略の基礎をなすのが、識字能力、無償の初等教育、そして中等以上の教育や職業訓練です。貧困者が信用貸付を利用できること、電気などの公共財が安く提供されること、栄養プログラム、無償または安価な保育、その他の社会サービスが普及していることなども雇用創出に大きな効果を生み出します。また望ましい社会基盤を確立する取り組みとしては、最低賃金の設定や税控除措置、人々の起業精神や創造力を支える法制度の整備などが挙げられます。
女性の地位向上、金融市場の監督機関の創設、弱者に有利な国際貿易ルールや協定の締結交渉も求められています。社会の最貧層の視点から経済成長を促進してゆくための施策が必要とされているのです。また、これまでの経験が社会のあらゆるレベル間および異なる社会間で共有されること、そしてより一層の国際協調が望まれています。
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