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ハイチ大地震の復興支援:UNVがボランティアリズムを通じた市民参加を推進

コミュニティ支援センターは、被災住民のニーズと支援を調整すると共に、復興活動への住民参加を啓発する拠点として機能している(C)UNV

コミュニティ支援センターは、被災住民のニーズと支援を調整すると共に、復興活動への住民参加を啓発する拠点として機能している(C)UNV


ブリスト・ボビのコミュニティ支援センターで活動中の国連ボランティア、ナタ―チャ・ジュ―ディーさん(C)UNV

ブリスト・ボビのコミュニティ支援センターで活動中の国連ボランティア、ナタ―チャ・ジュ―ディーさん(C)UNV


2010年1月12日にハイチ共和国の首都、ポルトープランス周辺で発生したマグニチュード7.0の直下型大地震は、20万人の死者、25万人の怪我人、そして150万人の地元住民の住居を奪う巨大災害となりました。震災後の復興ニーズ調査(Post-Disaster Needs Assessment: PDNA)によれば、約300万人以上の住民が、怪我や、食糧、水、医療、生計、教育等の基礎的な生活ニーズへのアクセスを失うという形で、直接の被害を受けました。すでに脆弱であった国家の施設は、この震災によって崩壊し、ハイチの住民の脆弱性は、さらに高まることになりました。

国連ボランティア計画(UNV)は、日本政府から拠出され、UNVが管理・運営する「日本信託基金(Japan Trust Fund)」からの20万ドルを利用して、緊急支援計画の策定、実施と被災住民の再定住の支援を行う国連居住機関(UN-HABITAT)の事業を支援しています。

具体的に、UNVは、4人の避難所運営、再定住・復興調整の専門家の国際・国連ボランティア専門家(International UN Volunteer Specialists)と、コミュニティの活性化を専門とする2人の国内・国連ボランティア(National UN Volunteers)を派遣し、HABITATが計画した、首都ポルトープランス周辺での10か所の緊急共同体と避難所支援センターの設立を通したコミュニティ中心の早期復興活動を支援しました。

2人の国内・国連ボランティアは、住民と共同で復興作業計画の立案、情報提供、モニタリング評価を通じて、住民のニーズを明確化するためのコミュニティの能力開発を支援しました。さらに、彼らは、コミュニティとハイチの関連機関や外部のNGOとのネットワークを作る支援も行いました。

国内・国連ボランティアの一人、ナターチャ・ジューディ−さんは、ポルトープランスのブリスト・ボビで、コミュニティ支援センターを管理・運営しています。このセンターは、コミュニティのリーダーや、団体、被災家族に対して、外部からの支援や技術支援のコーディネーションや情報を一括的に調整・提供する機能を持つと同時に、地元の被災住民に対して、コミュニティ参加、自助、団結といったボランティアリズムが内包する価値について啓発する活動を行っています。

被災住民のコミュニティのニーズを発掘するために、ナターチャさんは、リスク緩和、コミュニティの計画立案、伝染病予防等、多様な活動をカバーするトレーニングを計画しています。例えば、彼女は石工職員のためのトレーニング、女性のためのコミュニティ・リーダーシップ養成トレーニング、女性グループの組織運営トレーニング等を企画、開催したり、震災によって法的な文書を失った住民にたいして、法律相談を行い、HIV/AIDSに関する情報提供や避妊具の配布等を行っています。

「私が活動を始めた時、住民の参加はとても少ないものでしたが、最近は、特に女性の参加が顕著に見えるようになりました。コミュニティ活動への住民参加は、復興のプロセスをより包摂的、参加型にし、そして、幅広い住民のオーナーシップを確保するのに役立っています」とナターチャさんは述べています。

また、4人の避難所運営、再定住・復興専門家の国際・国連ボランティアは、住宅検査、耐震調査、リスク緩和策の実施のための専門調査等に携わり、被災者住民をポルトープランスの8つの地区への安全な再定住の達成に貢献しました。

HABITATとUNVが推進したこれらのアプローチは、「コミュニティ」を震災後の復興と再建の活動の中心に位置させるものです。国連ボランティアによって進められた活動は、地元コミュニティの能力強化と、参加が、復興や生活環境の改善を加速化することを証明しました。このコミュニティ中心のアプローチは現在、他のパートナー機関によっても援用され始めています。