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UNDPの活動事例: ネパール地震防災対策計画

耐震性の高い建造物の施工に関する研修の様子(C)UNDP Nepal

耐震性の高い建造物の施工に関する研修の様子(C)UNDP Nepal


煉瓦建造物をサンプルとした倒壊テストの現場にて(C)UNDP Nepal

煉瓦建造物をサンプルとした倒壊テストの現場にて(C)UNDP Nepal


煉瓦建造物をサンプルとした倒壊テストの様子(C)UNDP Nepal

煉瓦建造物をサンプルとした倒壊テストの様子(C)UNDP Nepal


ネパールは、世界各国のなかでもとりわけ、地震発生時に甚大な被害を受けることが懸念されている国です。そこでUNDPは、危機予防・復興局(BCPR)の主導の下、日本政府の資金提供を受け、政府組織・コミュニティ双方の地震防災対策の策定・実施能力強化を目的に、「ネパール地震防災対策計画」を実施しました。

ネパールにおける同プログラムは、2005年に兵庫で開催された国連防災世界会議(WCDR)において採択された「兵庫行動枠組(HFA)2005‐2015」に則り、南アジア5か国(ネパール、ブータン、バングラデシュ、インド、パキスタン)を対象に実施された「南アジア地域における地震防災対策計画」の一環として実施されました。ネパールにおけるプログラムの活動資金には、日本政府が防災・災害復興支援無償資金協力を通じて5カ国向けのプログラムに拠出した5億8400万円(当時の換算レートで約494万ドル)の一部分およびUNDP予算が充てられました。

2007年から2010年にかけて、総予算760万ドルで実施された同プログラムは、ネパール政府の関係省庁を実施パートナーとし、全国から選定された5自治体を対象に実施されました。プログラムの活動は、1)防災に資する設計・建築技術に関する様々な能力強化研修、2)防災教育3)耐震補強工事4)5か国連携イニシアティブにより構成されています。このうち能力強化研修では、建設業者を対象に、構造解析プログラムを活用した新建築基準に適合した建造物の設計方法や、耐震建造物の施工に関する各種研修が実施され、延べ351人が参加しました。

また防災教育活動では、一般の人々の地震への備えを強化するべく、各地で10回にわたり防災やリスク評価に関する講習会を実施したほか、14か所の中学・高校で避難訓練を含む防災教育を実施しました。これらの催し物への参加者は延べ2000人にのぼります。また同活動では、日本の技術支援を得て、ネパールではよく見られる煉瓦建造物をサンプルとした倒壊テストを行い耐震補強の手法を検証しましたが、これは人々が同種の建造物の危険性について理解を深めるうえで大変よい機会となりました。

このように同プロジェクトは、新築建造物への新建築基準の適用や古い家屋の耐震補強工事を普及促進しつつ、人々の防災意識の向上にも役立ちました。都市部の被災リスクと建造物の耐震に関する評価、地域毎の被災リスクに関する研究や各種ガイドラインの整備にも貢献しました。南アジアのプログラム実地国の間では、南アジア地域協力連合(SAARC)災害管理センターとアジア防災センター(ADCR)の協力を得て、計4回の合同ワークショップを通じて各国の知見の共有が図られました。