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「アフリカの角」地域の干ばつへのUNDPの対応

(C)UN Photo

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UNDPの対応
何シーズンか続いた雨不足でアフリカの角と呼ばれる地域の国々は、60年間で最悪の干ばつに直面し、20年間で最大の食料危機を経験しています。これは、今世紀になって初めて世界が経験する飢饉です。国連開発計画(UNDP)は、危機対応で不可欠なアクターとして、同地域の人道援助団体と連携し、人々の暮らしや統治といった根本的課題に取り組んでいます。

人的被害の規模は甚大であり、同地域では数百万人が深刻な食料不足に直面しています。特に影響を受けているのは子どもたちで、その死亡率は危機的なレベルに達しています。干ばつの影響は、食料価格の高騰や貧困層の対応能力が限られていることによってより一層深刻化しています。ソマリアでは依然、アクセスが限られており、隣接国に逃れる難民の数が大幅に増加しており、そのため既存の難民キャンプが過密状態になっています。

必要とされるもの
状況は複雑さを増しており、緊急的な人道的支援への対応、生産財の迅速な復旧、また同地域の更なる不安定化を回避するための紛争緩和に関わる国際的対応の拡大が必要とされています。また、同地域の長期的な食料の安全保障問題、すなわち飢饉の根本原因に対する取り組みも必要不可欠です。干ばつから食料危機、生計の不安定化というサイクルを打ち破るためには、貧困層の強靭性を構築する長期的な対策への投資が極めて重要です。

UNDPのアプローチ
干ばつは防げませんが、飢餓はそうではありません。貧困減少と強靭な国づくりのためのより効率的な投資が、人々が先に述べた災害サイクルから抜け出せるようにするために不可欠であると、UNDPは確信しています。できる限り早い生計と生産資産の復旧に注力することで、より迅速な復興が確実になるでしょう。UNDPはその専門的知見を活かし、早期の復興、力強い国づくり、異常気象による(環境)破壊への適応といった課題に取り組んでいます。そうした取り組みのすべてにおいてUNDPは、最も弱い立場の人々への支援に尽力しています。また、ジェンダーの平等と女性のエンパワーメント、そして食料の安全保障の確保において女性が担う重要な役割も重視しています。

UNDPにはすでに国事務所を構え、災害や紛争の管理、地域のガバナンス、天然資源の管理、経済復興のために持続可能な生計手段確保の支援体制が整っています。また、災害リスク低減や生計回復に向けた各国の能力強化にも取り組んでいます。こうした取り組みは、極めて重要であるとともに支援を必要としています。短期的には、UNDPは、人々の生計の早期復興に最も力を注いでいます。それは可能な限り早い地域経済の復興をもたらすとともに、より安全な社会と紛争回避にもつながります。

中長期的には、持続可能な食料の安全保障を同地域に確立するために様々なパートナーとの協働を継続していきます。具体的には、複数年また複数セクターを対象とした様々な災害リスク低減プログラムや生計支援イニシアチブ、現地の平和構築に対する支援、さらに長期的経済復興と開発のための制度強化です。

現在のUNDP資金調達状況
UNDPは、危機対応および緊急事態対応能力においても、各国政府への支援に積極的に関与しています。ソマリア、ケニア、エチオピア、ジブチに対する支援プログラムの即時拡大に向け、UNDPはすでに600万米ドルを拠出していますが、更なる資金が早急に必要とされています。

UNDPの具体的取り組み
地域レベルでは、UNDPは、国連の様々な機関や非政府組織と連携し、国家レベルのイニシアチブに基づいて、アフリカの角地域の危機に対応する緊急行動計画(Inter-Agency Plan of Action)を実施しています。

ソマリア:安全面、アクセス面での様々な問題にもかかわらず、UNDPは、モガディシュや飢饉の影響が最も深刻な地域のいくつかにおいて支援活動を展開してきました。具体的には、浅井戸、掘削孔、送水ポンプなどの重要な農業基盤の修復、用水路や集水灌漑基盤の復旧、短期雇用の創出による各家庭の食料へのアクセス確保、雇用を通じた尊厳の回復、次の農期への準備などが挙げられます。

ケニア:UNDPは国連高等難民弁務官(UNHCR) と連携して、干ばつおよびソマリアからの難民流入という更なる苦境に直面している受入側の地域社会に対して支援をしています。また、緊急ニーズに対応するため、既存の貧困削減プログラムを拡大するとともに、長期的な開発へとつなげています。具体的には、コミュニティ・インフラ復旧のための緊急支援スキーム、所得元の多様化に向けた支援などが挙げられます。さらに、災害後のニーズ評価に基づく復興と長期的な力強い国づくりのための支援策の策定を通じてケニア政府を支援しています。

ジブチ:地域社会インフラの修復や農村地域の食料生産向上を通じて緊急ニーズへの支援をしています。今後は、災害後のニーズ評価の提言に基づいた長期対策の策定において、ジブチ政府と連携していきます。

エチオピア:エチオピア政府は近年、食料の安全保障の向上に関して目覚ましい進展を見せています。しかしながら、特に弱い人々、とりわけ小規模農家や酪農家が多い地域が未だ多く存在します。UNDPが計画している対策としては、そうした弱い人々が農業投入物を新たに仕入れられる引換券(commodity voucher)の支給、また社会基盤を修復し水利用性を高めるとともに、食料の安全保障の更なる悪化を回避することなどが挙げられます。さらに、国家的規模の災害リスク管理機関の設置に関してエチオピア政府を支援してきました。

支援方法
「アフリカの角」地域でのUNDPの活動を支援いただく方法は数多くあります。各国のUNDP事務所と費用分担契約を締結することで直接支援いただくことが可能です。さらに、UNDP「危機予防と復興のためのテーマ別信託基金(Thematic Trust Fund for Crisis Prevention and Recovery)」を通じてグローバルなレベルでご支援いただくことも可能です。「アフリカの角」地域におけるUNDPの取り組みについて、また支援方法についての詳しい情報は、UNDPのウェブサイトをご覧ください。