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防災ガバナンス分野におけるUNDPの取り組み

2012年12月21日

インドネシアにおけるコミュニティ・ベースの災害リスクの軽減活動における女性グループの対話の様子。(C)UNDP Indonesia

インドネシアにおけるコミュニティ・ベースの災害リスクの軽減活動における女性グループの対話の様子。(C)UNDP Indonesia


レポート『グローバル・レビュー:UNDPによる災害リスク管理のための法制度・機構整備支援』(2012年6月発行)(C)UNDP

レポート『グローバル・レビュー:UNDPによる災害リスク管理のための法制度・機構整備支援』(2012年6月発行)(C)UNDP


急速な都市化に伴う災害発生率の高い地域への人口集中等は、気候変動の影響とも相まって災害リスクを高める要因となります。そして多くの場合、豊かな人々より貧しい人々の方が大きな災害リスクに直面しやすい状態にあります。これは、過去20年間の自然災害による死者(130万人)および被災者(44億人)の95%が途上国の人々で占められ、サイクロン被害を例にとっても先進国における死者は全体のわずか2%以下に過ぎないというデータにも表れています。以下に、災害リスク軽減に重要な役割を果たす防災ガバナンス分野における国連開発計画(UNDP)の取り組みを紹介します。

防災ガバナンスの重要性
大雨の度に冠水する地域に住むことで洪水被害に遭う確率が高まることからもわかるように、人間の行動や決定が、地震、津波、洪水、干ばつや地滑りといった災害の被災規模を拡大させ、或いはそれらの被害を誘発することがあります。これを未然に防ぐためには、地域住民のみならず行政・メディア・民間企業・市民社会が連携して、災害が起こる以前から自然災害や気候変動による被災リスクを管理・低減するための対策をとる、防災ガバナンスが重要となります。防災ガバナンスの強化により、災害への備えのみならず被害からの迅速な復旧が可能となります。防災ガバナンス分野の支援対象には、土地利用計画、建築基準規制、災害評価ツール、政府機関の災害リスク管理および復旧能力の強化等が含まれます。また、地域レベルの計画・実施プロセスへの住民参加も重要な取り組みのひとつです。災害に強い強靭な社会を実現するためには、あらゆる開発活動で防災および気候変動への適応策を主流化させ、開発により災害リスクが高まるような事態を回避しつつ、自然災害の影響から人々を守ることが重要となります。

UNDPの取り組み
よりよいガバナンスが災害リスク軽減に役立つことは、広く認識されつつあります。UNDPは豊富な経験を活かし、以下を含む様々な防災ガバナンス分野における取り組みを通じ、開発における防災の主流化を支援しています。
・政策立案(例:農業・教育セクターを含む開発政策への災害リスク軽減策の主流化)
・組織・機構整備(例:省庁における防災担当ポストを設置し、セクター間の調整機能を高める)
・災害リスク軽減のためのアドボカシー(例:技術的指針の整備、訓練や教育プログラムの実施支援)
・災害リスク軽減策の実施支援
・災害リスク軽減策への参加促進

例えばホンジュラスでは、UNDPは政策立案支援の一環として、国家リスク管理システムのための法整備をサポートしました。同法が2010年に承認されたことで、国家リスク管理計画の策定への道筋がつけられました。同計画は2012年中の完成を予定しています。国家開発計画の担当部局と連携し、国内の各行政レベルにおける開発計画に災害リスク軽減の視点が反映されるよう、様々なアドバイスも提供しています。

またUNDPは、2004年のスマトラ沖大地震・インド洋津波により大きな損失を受けたインドネシアでも、防災ガバナンスにおける政府の取り組みを支援しています。UNDPは、災害リスクの軽減に向けた取り組みの一環として2007年に設立された防災庁と連携し、5か年国家開発計画に災害リスクの軽減が主流化されるよう働きかけました。これにより、災害リスク軽減に向けた取り組みに対し、優先的に国家予算が配分されるようになりました。


参考情報:UNDPの法制度・機構整備支援に関するレポート
防災ガバナンス分野におけるUNDPの取り組みの詳細は、『グローバル・レビュー:UNDPによる災害リスク管理のための法制度・機構整備支援』(2012年6月発行)で紹介されています。本レポートでは、19か国におけるUNDPの活動を分析し、災害リスク軽減のための法制度・機構システム支援の成功要因と教訓をまとめています。レポートはこちらからダウンロードできます。