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貧困削減と企業連携 ―BCtAの取り組み―

2012年10月10日


2012年9月25日にニューヨークで開催されたBCtA年次会合

2012年9月25日にニューヨークで開催されたBCtA年次会合


BCtA年次会合でのパネルディスカッション(右から2人目:伊藤忠商事からの発表者)

BCtA年次会合でのパネルディスカッション(右から2人目:伊藤忠商事からの発表者)


国連開発計画(UNDP)では2002年より、民間セクターと連携し、貧困削減と途上国の包括的な市場*の育成に向けたさまざまな取り組みを進めてきました。このなかで、日本企業をはじめとした多くの企業が、途上国の政府や企業、コミュニティとの革新的なパートナーシップや投資、途上国の人々のニーズに応える包括的なビジネスの推進を通じて、持続可能な開発に大きく貢献しています。

*包括的な市場:貧困層を生産者・消費者・労働者として取り込み、貧困層が必要とする雇用・商品・サービスを生み出すことにより、貧困層の人々の選択肢と機会を広げる市場。

民間企業のコアビジネスを通じて貧困削減やミレニアム開発目標(MDGs)の達成を促進するために、UNDPは2008年より、8つの国際機関とともに「ビジネス行動要請」(Business Call to Action:BCtA)を実施しています。BCtAは企業とドナー機関、途上国政府が情報や知見を共有して連携するプラットフォームを構築しており、これまでに農業、保健、金融サービス、エネルギー、教育等の分野で約55の企業が参加しています。BCtAに参加した企業により、これまでに42の途上国で23万8000人以上の雇用が創出され、57万5000人以上に職業訓練の機会が提供されてきました。

コカ・コーラ、マイクロソフト、ファイザー、スタンダードチャータード銀行、トムソン・ロイター、ボーダフォンなど世界的な企業が参加するなか、日本からは今日までに、住友化学、伊藤忠商事、クルック、ユニ・チャームの4社がBCtAの会員となっています。このうち、2012年8月にBCtAに参加した伊藤忠商事とクルックによる「プレオーガニックコットン(POC)プログラム」は、オーガニック栽培されながら認証をまだ受けていないコットン(オーガニック認証を受けるためには3年間のオーガニック栽培の実績が必要)を、通常のコットンよりも高い価格で買い取ることにより、インドの綿農家がオーガニックコットン栽培に移行することを支援し、同時に先進国でオーガニックコットンのマーケットの拡大を図るというユニークな取り組みです。

9月25日には、ニューヨークにおいて、国連総会のサイドイベントとして、BCtAの年次会合が開催され、日本からの4企業をはじめ、世界中の企業、政府、NGOなどから150人以上の参加者が集いました。この会合では、4つのパネルディスカッションを通じて、各企業の取り組み内容とその意義を参加者が共有するとともに、「ミレニアム開発目標(MDGs)」の達成を加速するためにビジネスが果たせる役割について活発な議論がなされました。

2015年のMDGsの達成に向けて、UNDPでは、今後ますます民間セクターとの強力なパートナーシップが推進されることを期待しています。そのためにも、民間セクターにおける、UNDPの活動や途上国の開発課題に関する認識度の向上を図りながら、企業と連携した具体的なプロジェクトを推進していく計画です。


「UNDPと民間セクターとの連携」の詳細はこちら、「BCtA」の詳細はこちら、伊藤忠商事とクルックによる「POCプログラム」のプレスリリースはこちら、BCtAの年次会合に関するプレスリリースはこちらをご覧ください。