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報告書「MDGs進捗報告書―アフリカにおけるMDGsの進捗評価」を発表

2012年7月16日

報告書「MDGs進捗報告書―アフリカにおけるMDGsの進捗評価」

報告書「MDGs進捗報告書―アフリカにおけるMDGsの進捗評価」


【2012年7月16日】
新しく発表された報告書「MDGs進捗報告書―アフリカにおけるMDGsの進捗評価」は、サハラ以南アフリカの国々は、確固とした開発を進めるためには、ディーセント・ワーク(働きがいのあるきちんとした仕事)と社会福祉サービスへの普遍的なアクセスを提供する必要があると指摘しました。

報告書は、初等教育への就学、初等教育就学における男女格差、国会での女性議員数、HIV/エイズ感染率の分野で、今年進捗があったことを明らかにしました。しかし、これらの進ちょくにも関わらず、アフリカは多くの地域で見られる収入格差問題への対処、ディーセント・ワークや保健衛生サービスへのアクセス提供などの課題に直面しています。

安定した経済成長と貧困削減はサハラ以南アフリカにおいて、MDGsを達成する上で良い影響を及ぼしています。報告書は貧困状態にある人々の割合が1990年の56.5%から2008年の47.5%へと減少していることも紹介しています。

しかし、この数値は深刻な不平等が存在することを明らかにしていません。例えば、増加した雇用のうち70%は脆弱な雇用形態で、そのほとんどが女性です。ブルンジやリベリアのような国では、働いている若年層の85%以上がワーキング・プア状態です。

アフリカでは人口が急速に増える一方、雇用機会の創出は追いついていないため、この事態は悪化すると見込まれています。

報告書は、保健と教育分野における重要な進展を強調していますが、質の低さとアクセスの悪さのため進捗が妨げられてもいます。例えば、アフリカ諸国のほとんどで初等教育の就学率は2010年時点で90%を超えていますが、そのうち初等教育の修了率が90%を越えているのは2009年時点でわずか6か国です。

さらに、エリトリア、リベリア、マダガスカル、ニジェールなどのアフリカ諸国では乳幼児死亡率が1990年から2010年の間に半減するなどの進捗が見られましたが、農村部や遠隔地域の子どもたちは、有資格の医師や保健施設不足のために不利な状況に置かれています。

2015年のMDGs達成期限まで3年を切り、報告書は政策決定者に対し、良質な雇用や社会福祉やセーフティーネットへのアクセス改善をより重視するように促しています。公共事業、若年層の雇用計画、保険事業、学校給食プログラムなどは貧困削減に十分な効果が生んだイニシアティブの一部です。

(社会福祉などへの)普遍的なアクセスを確保する傍ら、食糧価格の高騰、気候変動による影響、繰り返される紛争などから社会的弱者を守る取り組みにも重点が置かれなくてはなりません。

開発に関わる国際社会は、ポストMDGs(2015年以降の国際開発目標)を策定するプロセスに入っています。そのため報告書は、アフリカが各地域の事情にも目を向け、生産部を強化することで社会ニーズに応えるなど新たな課題も考慮した上で、統一見解を示すように呼びかけています。

そのためには公平性、若年層の雇用創出、食糧の安定確保、強靭性の構築、気候変動、平和と安全保障などにも焦点を当てる必要があります。


報告書のハイライト
ミレニアム開発目標1:
北アフリカを除くアフリカは貧困削減の分野で、他地域にくらべて最小の進ちょくでした。これは、2015年までの達成目標値に対して41%も低く、目標値に対して25%低い南アジア、同6.1%低いラテンアメリカよりも進ちょくが遅れています。

ミレニアム開発目標2: 
アフリカ諸国の多くの国がこの目標を達成する見込みです。いくつかの国で就学率が改善し、ほとんどの国で初等教育の就学率が90%に達しました。しかし、教育の質に関しては課題が残っています。

ミレニアム開発目標 3:
初等教育機関でのジェンダー平等は順調に進ちょくしていますが、中等教育・高等教育機関では依然不十分なままです。国会における女性議員数の割合は高くなっています。

ミレニアム開発目標 4:
乳幼児死亡率は減少していますが、そのペースは遅々としています。

ミレニアム開発目標 5:
妊産婦の健康状態の改善は、いまだにアフリカのほとんどの地域で重大な課題です。

ミレニアム開発目標 6:
HIV/エイズは、行動様式の変化と抗レトロウイルス治療によって、特に南アフリカで減少しています。アフリカにおけるマラリア死亡率は、予防・管理措置の強化により2000年と比較して3分の2の水準まで低下しました。

ミレニアム開発目標 7:
水の供給が改善しました。ごく少数の国で森林再生プランが行われています。(炭素)排出量はほとんどの国が低水準で、かつ排出量もほとんど増えていません。多くの国で、オゾン層破壊物質の利用を50%以上削減しました。