国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所のウェブサイトは2013年9月に移転しました。

新ウェブサイトはこちらからご覧いただけます。


国連持続可能な開発会議(リオ+20)とUNDP 

2012年5月31日



ヘルシンキ大学でリオ+20に向けての講義をするヘレン・クラーク総裁(2012年5月7日)

ヘルシンキ大学でリオ+20に向けての講義をするヘレン・クラーク総裁(2012年5月7日)


国連持続可能な開発会議(リオ+20)」が6月20日から22日まで、ブラジルのリオデジャネイロで開催されます。1992年に同国で開催された「国連環境開発会議(地球サミット)」から20年を迎えるのを機に、世界のリーダーが民間企業、NGOなどの代表者らと一同に会し、私たちが望む世界―経済・社会・環境のあり方について協議をします。国連開発計画(UNDP)からも、ヘレン・クラーク総裁をはじめ幹部職員がリオ+20の協議に参加します。

リオ+20は、1)持続可能な開発を達成し、人々を貧困から救い出すにはどのようなグリーン・エコノミーを構築すればよいのか、2)持続可能な開発のための制度的枠組みを主要テーマにしています。

途上国129か国に事務所を置き、177か国・地域で活動するUNDPは、リオ+20の協議、成果文書の作成においても積極的に関与していきます。UNDPはリオ+20で、以下のようなことを推奨していきます。

・グリーンなだけでは十分ではない。経済、社会、環境分野での「3つの利益」政策とプログラムが未来への鍵を握る
これまで公共政策を考える上で経済に重点が置かれがちでしたが、経済、社会、環境の3分野をよりよく融合した「3つの利益」の政策とプログラムの拡大が今後持続可能な開発を推し進めていく鍵となります。例えば、エネルギー政策では、環境や産業だけでなく、エネルギーや雇用アクセスという側面から公衆衛生や公平性についても考慮する必要があります。

・MDGsの達成に力を注ぎながら、SDGsへの移行準備もする
ミレニアム開発目標(MDGs)達成に向けた進ちょくを維持すると同時に、達成が危ぶまれる分野の進ちょくを加速させる必要があります。同時に、「持続可能な開発目標(SDGs)」を含め、MDGsの達成期限の2015年以降に向けて、MDGsから得た知見を生かした新たな枠組みづくりを進めなくてはいけません。

・ガバナンス強化をしていく
政策においても、実務においても、ガバナンスは社会、経済、環境の3分野を結びつけることができます。特に、以下の場合にガバナンス強化が求められます。1)女性の土地保有権など、コミュニティの人材の権利を強化する、2)包括的な開発プログラムの計画、実施能力を強化する、3)サービスの提供、雇用、持続可能な水、土地、生物多様性の管理、気候変動の危機管理など社会的保護を包括するフレームワークを構築する。

・開発の資金調達を再検討する
貧困削減をしながら経済成長を促し、同時に環境保護を実現するような新しい資金調達と融資のモデルを見出す必要性があります。例えば化石燃料など環境悪化につながるものへの助成金を減らし、持続可能を視野にいれた政府調達方針の導入も重要です。

・GDPや最終収益に表れないような価値を計測し、指標として制度化する
持続可能な人間開発は、従来のGDPでは測ることが出来ません。人間開発指数(HDI)を基に、人間の福利と持続可能な開発を反映する新しい指標が必要であり、リオ+20は新たな指標に合意する格好の場です。

・利用できる知識、技術革新は共有していく
持続可能な開発に関する事例は数え切れないほどありますが、その情報共有はうまくいっていません。環境面から見た価値も考慮した人間開発指数(HDI)を作成する新たな取り組みが必要です。必要とする知識、実例が共有できるような、世界的に認知されるプラットフォームの構築が必要です。

・公平性と包括性の実現 
社会における公平性とすべての社会グループを包括していくものでなければ、持続可能な開発とは言えません。伝統的な経済成長モデルは、環境破壊、健康被害、不平等や紛争を誘発してきました。しかし、これからは、環境面での持続可能性だけでなく、雇用創出、女性や貧しい人々の生活水準向上を伴って進めていく必要があります。

・すべての人が効率的で、持続可能なエネルギーにアクセスできるようにする
貧困削減、経済成長、環境保護のためには、効率が良く、再生可能なエネルギーへのアクセスが極めて重要になります。世界では14億人が未だに近代的なエネルギーにアクセスできず、このことが貧困からの脱却を妨げ、深刻な健康被害を招き、経済成長を妨げ、環境破壊も引き起こしています。リオ+20では、すべての人がクリーンで安価なエネルギーを使えるように投資することで、エネルギー貧困の悪循環を打破できます。

・パートナーシップが前進の鍵となる 
持続可能な開発は、新たな、多くのパートナーシップを必要としています。官民で垣根を越えた協力体制が必要になります。新しい技術開発に加えて、貧困削減、経済成長、環境改善が同時に寄与するような予算付けや投資が必要となります。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐

私たちの住む世界
・地球人口は1992年の55億人から、現在70億人になりました。2050年には90億人になると予測されています。
・世界の最も豊かな1%が、世界の富の43%を所有し、世界の貧しい50%は世界の富の2% も所有しておりません。
・世界の5人に1人は、1日1.25米ドル未満で暮らしています。
・世界で消費される食べ物の3分の1(年間13億トン)は破棄されています。一方で、世界の16%は飢えています。
・世界では化石燃料など持続可能でないエネルギーのために計1兆ドルの補助金を出し、持続可能なエネルギーへの投資には660億ドルしか使っていません。
・世界の9億人は清潔な水を利用できず、30億人は近代的な衛生施設を利用できません。
・最も豊かな国々に暮らす人々は、最も貧しい国々に暮らす人々に比べて、平均30倍のCO2を排出しています。
・UNDPの支援プロジェクトで、過去10年の間に、主に貧しい農村に住む1000万人以上が近代的なエネルギーを使えるようになりました。