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ミレニアム開発目標フォローアップ会合ならびにヘレン・クラーク国連開発計画総裁の来日報告

日時:2011年6月1日-3日(金)

ヘレン・クラーク国連開発計画(UNDP)総裁は、2011年6月2日及び3日に開催されたミレニアム開発目標(MDGs)フォローアップ会合に出席するため訪日しました。本レポートでは会合の概要と総裁訪日の足取りの一部をお届けします。
MDGs フォローアップ会合で挨拶をする
UNDPのヘレン・クラーク総裁 
©UNDP

1.MDGsフォローアップ会合の概要
6月2日及び3日、東京都内で、日本政府主催、UNDP、UNICEF、世界銀行及びJICA共催で、MDGsフォローアップ会合が開催されました。本会合は、2010年9月のニューヨークにおけるMDGs国連首脳会議の結果を踏まえ、2015年までのMDGs達成に向けた政治的モメンタムを維持・強化するために行われました。

世界各国から300人以上が集まった
MDGsフォローアップ会合
©UNDP

 本会合には、110か国以上の代表、20の地域・国際機関、国内・国際NGO、民間セクターなど計約300名以上が参加し、2015年までにMDGsを達成することが国際社会における最重要課題のひとつであることを再確認しました。冒頭の挨拶において、菅直人総理大臣より、未だ道半ばにあるMDGs達成という目標に向けて日本が積極的な役割を果たしていくとの決意が示されました。また、MDGsを達成する上で、気候変動や食糧安全保障、自然災害等の地球規模の課題や政府諸機関の能力強化の重要性に対する認識が共有され、2015年後に向けた国際的議論が開始されました。

分科会3の議事進行をするクラーク総裁
©UNDP

 クラーク総裁が議事進行を担当した分科会3「実施ギャップの解消:国、コミュニティ中心のアプローチ」においては、トーゴ計画・開発大臣、ラオス計画投資大臣、コロンビア・サンタンデール県保健局長、ガーナNGO代表からUNDPが主導し国連開発グループ(UNDG)で承認されたMDG加速フレームワーク(MAF)に関し、パイロット国における取り組みとして、いかにMAFを活用し、達成が困難とされているゴールの阻害要因を特定し、行動計画を策定したかという点について事例発表がありました。また、勝間靖・早稲田大学教授から人間の安全保障のアプローチがMDGs達成促進に果たす役割につきプレゼンテーションがあり、この他、スペイン国際協力長官、UNICEF、JICA、三井物産株式会社社長等、多様な関係者からの発言を受け、MDG達成のための実施ギャップを解消するための方策についての議論が行われました。

こうした一連の議論を踏まえ、今次会合の最終日には、今後開催されるMDGs関連の国際的な議論への有意義なインプットとすべく、議長ステートメントが発出されました。
 なお、UNDPは共催者として、今次会合の主要な参加者約70名を招待し、総裁主催の昼食会を開催しました。伴野豊外務副大臣からのご挨拶もいただきました。また、会合の会場では、UNDPとオリンパス株式会社の共催で、2010年MDGs写真コンテスト「Picture This: We Can End Poverty (世界を写そう:私たちは貧困を終わらせる)」受賞作品の展示も行われました。
会場内でUNDPが主催した
昼食会の模様
©UNDP
MDGsフォローアップ会合の会場で
開催されたPicture This 写真展
©UNDP
基調講演をするクラーク総裁
©UNDP

2.MDGsフォローアップ会合・サイドイベント「MDGsの達成とビジネスの可能性」の概要
6月3日の本会合終了後の午後、国際連合大学本部3階、ウ・タント国際会議場において、MDGsフォローアップ会合サイドイベント「MDGsの達成とビジネスの可能性」(主催:UNDP、共催:世界銀行、国際金融公社)が行われました。MDGs達成における日本の民間セクターの役割を議論するサイドイベントということもあり、多くの企業・経済団体のほか、政府、NGO、アカデミアなど各界から300名以上の参加者が集まりました。

シンポジウム第2部、
パネルディスカッションの模様
©UNDP

 シンポジムの冒頭では、伴野豊外務副大臣よりご挨拶をいただき、外務省による新しい官民連携パートナーシップの取り組みが発表されました。それに続く基調講演では、ヘレン・クラーク総裁が、ビジネスを通じてMDGs達成に貢献している事例を紹介しながら、途上国の発展がすべてのビジネスのためになると強調しました。また後半のパネルディスカッションでは、企業、途上国、アカデミア、政府および開発金融機関の代表者が、それぞれの立場から途上国のMDGs達成における日本企業の可能性と課題を議論し、コメンテーターのオラフ・ショーベンUNDP開発政策局長も加わって、ビジネスを通じた実践的なアプローチについて活発に意見交換をいたしました。

サイドイベントの詳細は、こちらをご参照ください。

菅総理大臣(右)とクラーク総裁
©UNDP

3.日本政府首脳との意見交換
クラーク総裁は6月2日、MDGsフォローアップ会合開催に先立ち、共催機関であるUNICEFアンソニー・レーク事務局長ならびに世界銀行マフムド・モヒルディン専務理事とともに菅直人総理大臣を短時間表敬しました。菅総理より、MDGsフォローアップ会合への共催機関の協力に対する謝意表明があり、クラーク総裁からは、東日本大震災の被災者に対するお見舞いの言葉とともに、復興の最中にもかかわらず会合を予定通り開催した日本政府のMDGs達成に向けたリーダーシップを高く評価したい旨述べました。

松本剛明外務大臣(左)とクラーク総裁
©UNDP

 6月3日に外務省にて行った松本剛明外務大臣との意見交換では、松本大臣よりMDGsフォローアップ会合に対するUNDPの協力に対する謝意が表されるとともに、震災後日本で初めて行う多国間の閣僚級会合において、有意義な議論を行うことができた旨、発言がありました。これに対し、クラーク総裁より、今回の会合では、各国が成果を出している施策を提示でき、就中MAFについて支持と関心が表明されたことは有意義であったと述べました。また、クラーク総裁より、5月にセネガルのダカールで開催されたTICAD閣僚級フォローアップ会合ならびに今回の会合で、格差の是正と包括的な成長という点が重視されたことを評価するとともに、UNDPの通常予算(コア予算)に対する今年度増額拠出に対する謝意と、引き続き同拠出の更なる増額をお願いしたいと述べました。

 このほか、クラーク総裁は、伴野豊外務副大臣主催の夕食会でUNDPと日本のパートナーシップの強化について、率直な意見交換を行いました。クラーク総裁よりは、中東・北アフリカや中央アジア諸国のように、ガバナンスや環境等で支援を必要としながらもドナーの注目が低い中所得国に対して、UNDPは通常予算を使って支援をしていることから、通常予算に対する更なる日本の貢献につき、期待を述べました。