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ニュースルーム −プレスリリース−

2011年04月05日

地雷の影響を受けるイラクの人々の生活改善へ

【2011年4月5日、バグダッド】
4月4日の「地雷に関する啓発および地雷除去支援のための国際デー」に合わせて、イラクの環境大臣と国連は本日、バグダッドの国連イラク支援ミッション(UNAMI)本部で、イラクの地雷対策に関する記者会見を開いた。イラクの環境副大臣・カマル・ラティフ氏、UNAMIの人道支援・開発室長・ダニエル・ アウグストブルク氏、イラク防衛省の軍事工学局長・ハディ・アサブ氏が地雷被害者への支援体制、地雷の危険認知度を上げるための継続的な啓発活動、爆発性戦争残存物(ERW)の除去活動について説明した。会見には、イラク国内外の報道機関の代表者たちが出席した。

UNAMI事務総長特別副代表のクリスティーン・マクナブ氏は「イラクには(地雷やERWによる)汚染地帯が1730平方kmあり、1600以上のコミュニティの約160万人がその影響下にあります。地雷とERWは、彼、彼女らの生活権、自由、安全保障における大きな脅威となっています。国連はイラク政府やイラクのパートナーたちと一緒にこの大問題の解決に尽力し、イラクの人々が少しでもよい方向に進めるように支援しています」と話した。

ラティフ環境 副大臣は会見で、今年の国家開発戦略実施を発表しながら「世界にある地雷・不発弾の4分の1がイラクにあります。我々はそれがどれほど深刻にイラクの経済、政治、社会開発に影響を与えるかを見てきました」と話し、政府が過去数年間に実施してきた71のプロジェクトについて説明した。危険物を除去する難しさについて懸念を示しながら、「地雷が埋設している場所を示す地図はなく、また地雷分布は不規則です。それが、危険物除去の作業を非常に遅滞させています」と話した。

イラクには約2000万の地雷が埋められており、いまだ、最も国土が汚染された国の一つである。イラクから地雷を除去し、安全な国にしていく取り組みに加え、イラクの地雷被害者の生活や生計向上のために多くのプロジェクトが行われている。アウグストブルク人道支援・開発室長は「過去3年間で、北部のリハビリセンター3か所で、地雷被害者9500人以上が支援を受けられる状態になりました。これらセンターは、リハビリテーションや職業訓練を提供する一方、8500以上の義肢、1万7000以上の理学療法サービス、7000の移動補助器具を提供しています」と報道機関に説明した。

地雷とERWはイラクの子どもたちにも甚大な被害を及ぼしている。全地雷被害者の約25%は14歳以下の子どもである。ユニセフ・イラク事務所代表のシカンダール・カーン氏は「イラクにいる1500万人の子どもたちには、生活状態が守られた安全な環境で生きる権利があります。イラクのすべての地雷除去に向けた早急な対処もなく、何千もの子どもたちが地雷や不発弾のある地域で生活し、手足や命を失う危険にさらされています。また、子どもたちが命をつなぎ、自分の能力を最大限生かすために必要となる、教育、保健と水、公衆衛生へのアクセスも制限されています」と話した。

2007年にイラクも批准したオタワ条約(対人地雷禁止条約)では、2018年までに地雷やERWを国土から除去することを求めている。イラクがこの目標を達成するには、堅固な決意と多大な労力が求められる。イラクをより安全で、発展した国にするために、イラク全土で実施されている多くのプロジェクトの中でも、この問題は優先される必要がある。過去数年にわたってイラクやクルド政府、NGOs、市民社会は協働、協力が実を結び、イラクは新たな活力とエネルギーを蓄え、変革のための機会を持ち始めている。

UNDPの地雷対策プログラム 
UNDPは、ERW処理でイラク政府と地雷対策機関を支援している。2007年後半から2010年7月にかけて、イラクの1870万平方mで除去作業が行われ、1500家族が農場に、2400人の子どもが学校に戻った。UNDPはクルド行政区の3か所でリハビリテーション・センター支援もしている。そこでは、地雷被害者に1万7000回以上の理学療法サービスを施し、7000の補助器具、8500以上の義肢を提供した。身体障害者330人に対しては所得創出プロジェクトを実施している。また、UNDPはイラク政府が地震対策を国家や地方復興や開発の中に組み入れるように働きかけている。


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