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ニュースルーム −プレスリリース−

2009年12月11日

日本政府がパキスタン北西辺境州の紛争被害地域で平和構築、ガバナンス、経済復興を支援

[2009年12月10日、イスラマバード] 日本政府は本日、国連開発計画(UNDP)との間で、紛争地域であるパキスタン北西辺境州(NWFP)および連邦直轄部族地域(FATA)の一部の地域における平和構築、ガバナンス、経済復興のために、1,200万米ドルの資金供与を行うことに合意署名した。

交換公文署名、は田中敏裕UNDPパキスタン国代表と渥美千尋駐パキスタン日本大使の間で交わされ、ハリーム・ファザル・シブテン経済・統計省経済担当、カーン・カディール・シャキ―ル北西辺境州緊急支援・復興・定住庁地方局長が署名式に同席した。

署名式において渥美大使は、「このUNDPによるプログラムは、平和で安全なコミュニティへの帰還を望む人々の再定住と生活再建を支援するものです。パキスタンがインフラを整え、女性をエンパワーし、青年たちに笑顔と希望をもたらすように努力を続けることで、本来地域が持つべき力強さを再び身につけられることを願っています。」と述べ、さらに「私たちは、UNDPがパキスタンの開発において果たす役割を評価し、UNDPやパキスタンのこうした開発がさらに同国における平和と安定をもたらす一歩となることを信じています。」とUNDPの努力を評価した。

今回合意された3カ年プログラムは、これから国内避難民が帰還した際の生活再建を支援する。北西辺境州や連邦直轄部族地域における紛争では、270万人もの難民が発生した。平和の回復により、これまで160万人が帰還したが、その多くが不安定な生活を強いられている。そうした人々の一人であるMalakland出身のカヌム・ビビさん(53歳)は、「紛争が起こる前は、畜産と刺繍を売ることで8人の孫と未亡人となった孫達の母親を養うことができた。しかし、貯金は避難時に使い果たし、私の夫と息子は亡くなった。以前の事業を再開するためには、支援が必要です。」と述べている。 今回の日本政府による寛大な援助は、ビビさんのような多くの人々を支援することになる。

また、今回の支援により、短期的な緊急支援と長期的な再建と復興の間にあるギャップを埋めるために不可欠な早期復興活動も実施される予定である。具体的には、約2,282,500トン分の瓦礫の除去作業による現金収入によって生計を立て直す取り組みや、破壊された水道やポンプ、歩道、排水溝など身近なインフラの修理・再建にコミュニティ自らが参加することなどが含まれる。人々はまた、様々なスキルを習得し、農場セクターにおける小規模プロジェクトや農作物や園芸などのビジネス、あるいは大理石採石業、非農場セクターにおける宝石・宝飾産業、大工、観光業などの小規模ビジネスを行えるよう資金援助を受けられる。また、このプログラムでは、県および市町村の自治体が帰還者のニーズに協調して対応できるように支援することになっている。

さらに戦略的なレベルでは、UNDPは地域紛争を予防し、紛争を引き起こす構造的要因についてより深い理解を得るための取り組みも行う。現在コミュニティは、紛争を支持し、利益を受けた人々と、紛争の犠牲になった人々に分断されている。こうした内部対立が紛争の要因にならないようにするため、紛争の根本要因を包括的に分析すると同時に、平和委員会と新たな紛争解決メカニズムを設置する予定である。

このプログラムは、紛争によって影響を受けた人々、特に女性の世帯主、障害者を持つ世帯、10人以上で所得がRs7,000程度もしくはそれ以下の世帯といった弱者を重点的に支援することになっている。

紛争後の早期復興に向けて日本政府が支援することについて、田中UNDPパキスタン国代表は, 「UNDPと日本は有意義な関係を構築しており、それに基づいて日本政府からは2005年のパキスタン大地震後の多大なる支援を、また2008年にはパキスタン総選挙の実施を支援していただき、UNDPは、被災地域の復興に欠かせない住宅の提供や、瓦礫除去などを支援することができました。今回の日本による時機を得た帰還者支援は、生計手段の復活やインフラだけではなく、長期的な平和と被災地域の開発に必要なガバナンスへの支援にも貢献するでしょう」とコメントしている。

英文プレスリリースはこちら(UNDPパキスタン国事務所ウェブサイト)


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