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2008年04月21日

クラスター爆弾に関するUNDP報告書について

世界クラスター爆弾禁止デーの前日である4月18日、国連開発計画(UNDP)は、クラスター爆弾が市民に与える影響が、開発にとっても深刻な打撃であると訴え、国際社会にクラスター爆弾の使用を事実上禁止する包括的な条約の制定を促す報告書を発表した。

この報告書(”Prohibiting Cluster Munitions: Our chance to protect civilians”(仮訳「クラスター爆弾を禁止する」))では、クラスター爆弾が市民の安全と経済開発に与える影響を突きつけるだけでなく、投下から30年以上も経過しているクラスター爆弾の除去作業がいまだ東南アジアで続いており、開発の障害になっている現実を明らかにしている。また、何十億個ものクラスター爆弾から拡散する小型爆弾や地雷が世界の70カ国以上で備蓄されており、将来さらなる問題を起こさないためには、こうした兵器の製造、備蓄、流通、および使用を止めることが必要だと述べている。

報告書の発表にあたり、アド・メルケルトUNDP副総裁は「クラスター爆弾は罪のない一般市民の生命への脅威、そしてミレニアム開発目標(MDGs)達成の重大な障害となっている」と述べた。クラスター爆弾は、市民の安全や権利、経済発展に深刻な影響を与えるが、クラスター爆弾を禁止する法的な拘束力のある協定は存在せず、野放しのままになっているのが現状である。 来月ダブリンで開催される会議は、一年余りに及ぶクラスター爆弾の使用、製造、流通と備蓄を禁止する国際条約を策定過程の頂点であり、各国政府から条約批准に向けた支援を取り付けることが期待されている。

報告書を取りまとめた、キャサリーン・クラベロUNDP危機予防復興支援局長は、「クラスター爆弾は、人々の土地や農地、家屋を破壊するばかりでなく、長期的に人々の命や生計手段を危険にさらす、悪意に満ちた兵器である」と述べ、各国政府がクラスター爆弾を禁止する国際条約を制定するための交渉に加わるように促した。

イングランド・プレミアリーグのチェルシーのスター選手であり、UNDP親善大使を務める  ディディエ・ドログバ氏は、「私自身、故郷のコートジボワールの経験から、紛争が、個人や家族、共同体にとってどんなにひどいものか知っている。クラスター爆弾の不発弾によって死傷した人々や、自分たちの土地を耕すことができないがために貧困から抜け出せない人々にとっては、紛争が終わっていないのと同じだ」とコメントを寄せている。

<クラスター爆弾の現実>

クラスター爆弾は、発射時、サッカー場4個分以上の土地に小型爆弾を撒き散らすが、そのうち控えめにみても約5パーセントが不発弾となると推定されている。クラスター爆弾は通常、  ボールや小型缶の形状か、あるいは明るい色に着色されているため、特に子どもたち被害にを受けやすく、クラスター爆弾による全負傷者のうち3人に1人は子どもである。紛争終結から既に30年以上経っているベトナムでは、被害者の62%が子どもであると報告されている。

世界的に見ると、クラスター爆弾による死者と負傷者は1万3000件以上報告され、そのほとんどがアフガニスタン、イラク、ラオス、レバノンおよびベトナムの五カ国に集中している。これらの国々において、クラスター爆弾は負傷者を生むだけでなく、農地汚染や家畜の死亡などによる食料供給の不安定や、住居や水・衛生設備へのアクセスを阻害による衛生上の問題を引き起こし、貧困を悪化させ、経済回復と開発の進捗を妨げている。

UNDPは、地雷除去し、土地を再び農耕地や牧草地などに利用できるよう支援を続けており、過去10年間だけでおよそサッカー場1万個分に相当する面積で、クラスター爆弾の不発弾を除去している。


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