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2006年06月05日

2006年世界環境デーに寄せて ケマル・デルビシュ国連開発計画(UNDP)総裁

 世界中で貧困にあえいでいる人々の半分は、乾燥地帯に暮らしています。砂漠から草原にかけて広がるこれらの乾燥・半乾燥地は、地球の陸地部分の41%に相当し、そこには20億人以上もの人々が生活しています。生命を支える植生は砂漠化の危機にさらされ、生計維持手段は、国際社会が人間開発を進める上で最前線に立ちはだかる過酷な諸条件に常に脅かされています。

 世界環境デーを迎えた本日、我々は「砂漠と砂漠化に関する国際年」を迎えるにあたって直面している諸課題と、それらを克服するためになすべきことに焦点を当てています。我々が生活する脆弱な生態系内において、ミレニアム開発目標(MDGs)達成を追求するには非常な困難が伴います。乾燥地帯に住む人々は進行する土地劣化に直面しています。彼らは地理的、政治的にも取り残されています。近代的なエネルギー供給サービスを欠いています。気候変動に無防備です。水も不足しています。

 世界の貧困層の半数は、乾燥地帯における諸環境の悪化に直面しながらも、自らの生活様式を守ろうと苦闘しています。国連開発計画(UNDP)は、60以上の国々で砂漠化に対処するための国家行動計画(National Action Programmes to Combat Desertification)の策定を支援しています。2003年以来、UNDPは、持続可能な土地管理を支援するために、地球環境ファシリティ(GEF)などのドナーから無償の資金を得て、3億7,000万ドル以上の支援を開発途上国に提供してきました。また、「持続可能な世界牧畜イニシアティブ(World Initiative for Sustainable Pastoralism)」というユニークな人間開発イニシアティブを立ち上げ、国際的支援を呼びかけています。

 UNDPは、乾燥地帯における人間開発の実施に必要とされる以下の4つの要素について、啓蒙・啓発活動を行っています。第一に、住人には、とりわけ彼らが耕作し、居住する土地に関する法的権利が必要です。我々は貧困層を重視した(pro−poor)環境面でのガバナンス改革において中心的役割を担っておりますが、これは女性の地位向上に特に配慮しつつ、最貧層の土地所有権を強化し、土地改革プログラムを推進するものです。

 第二に、乾燥地帯に暮らす人々は、代替エネルギー源を必要としています。このため、UNDPは近代的なエネルギーの利用拡大に努めています。24億以上の人々が依然として、調理や暖房のために木材、糞や木炭などの伝統的な燃料を利用しており、これらへの大きな依存が土地劣化と砂漠化を助長しています。

 第三に、地域社会は気候変動に適応するための援助を必要としています。UNDPは地域住民が悪化する旱ばつ等の気候変動から来る脅威によりよく対処できるよう、支援を行っています。そして最後に、UNDPは、人間開発における「水」の重要性を深く認識しており、「水」を本年の『人間開発報告書(HDR)』のテーマとしています。我々は、乾燥地域において気候変動が水資源の利用可能性に与える影響を予測し、水資源の利用に関係する当事者がこれらの影響に対処し、その影響から生じる危機を最小限にとどめる等の対応戦略を立案できるよう支援しています。

 環境は、国連事務総長の「国連システムの一貫性に関するハイレベル・パネル」において、開発、人道支援とならび、見直しが進められている活動領域のうちの一つです。環境問題に対処するにあたり国連の効率性を最大化するために、我々はこの機会を活用しなければなりません。乾燥地帯を含む脆弱な生態系を保護するための我々の取組みは、かつてないほどその重要性を増しているからです。

以上


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