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ニュースルーム −プレスリリース−

2006年04月18日

国連開発計画(UNDP)
財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)

アジア太平洋開発途上国の貧困削減に向けたCDMの積極活用を提言:UNDPバンコク地域センターとIGESがワークショップを共同開催

 国連開発計画(UNDP)バンコク地域センター(タイ・バンコク、所長 エリザベス・フォン)と財団法人地球環境戦略研究機関(IGES、神奈川県葉山町 理事長 森島昭夫)は、2006年3月30日及び31日、バンコクにおいて、クリーン開発メカニズム(CDM)の貧困削減への活用を検討するワークショップ「アジア太平洋地域における地域CDM戦略の開発」*1を開催し、アジア太平洋地域21カ国*2より政府上級職員等約40名が参加しました。

 CDMは、京都議定書を批准している先進国(附属書I国)の温室効果ガス(GHG)排出削減目標達成だけでなく、非附属書I国である開発途上国の持続可能な開発に資することも期待されています。しかしながら、先進国の関心が炭素(GHG排出削減)クレジットの獲得のみに集中する傾向にあることから、開発途上国は必ずしもCDM事業の実施による貧困削減に資する社会的・経済的利益を十分に享受しているとは言えません。さらに、アジアでは、インドや中国といった比較的投資リスクが低いとされる国にCDM案件が集中しており、貧困削減や開発のために海外からの直接投資を期待している後発開発途上国において、CDMは必ずしもその期待に応えているとは言えません。

 今回のワークショップでは、開発途上国自身がCDMプロジェクトの実施基準として貧困削減への寄与を考慮するとともに、先進国は排出削減だけを考慮するのではなく、開発途上国の持続可能な開発への寄与も考慮したプロジェクト実施を促進するべきであると提言されました。また、地方での電化や交通整備など、貧困削減と密接な関係にあるセクターでCDM事業が実施される必要性についても議論され、そのためには、CDMプロジェクトが地域社会にもたらす影響を適切に評価することが不可欠であるという点が指摘されました。

 今回のワークショップを通じ、UNDPバンコク地域センターとIGESは今後も連携してアジア太平洋地域の開発途上国の支援に当たっていくことを確認しました。このため、UNDPは、域内25カ国の常駐事務所が持つ開発途上国政府の開発関連機関との緊密なネットワークを通じ、開発途上国に対してCDMに関する政策助言や能力開発、情報共有を行うとともに、IGESはこれまでの環境、エネルギー政策に加え、開発政策や貧困削減政策を担当するアジア各国の政府職員を対象とした能力開発支援を通じて、貧困削減に資するCDM案件の発掘・形成支援を行って参ります。

 なお、今回のワークショップは、本年1月20日にUNDPとIGESの間で締結された「戦略的業務協力協定」に基づく、協力活動の第一弾として実施されたものです。

以上

*1 Developing a Regional Strategy for the CDM in the Asia Pacific Region

*2 アフガニスタン、イラン・イスラム共和国、インドネシア共和国、カンボジア王国、サモア独立国、スリランカ民主社会主義共和国、ソロモン諸島、中華人民共和国、ネパール王国、パキスタン・イスラム共和国、パプアニューギニア、バングラデシュ人民共和国、東ティモール民主共和国、フィジー諸島共和国、フィリピン共和国、ブータン王国、ベトナム社会主義共和国、マレーシア、モルディブ共和国、モンゴル国、ラオス人民民主共和国


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