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ニュースルーム −プレスリリース−

2002年03月08日

2002年国際女性の日によせて UNDP総裁マーク・マロック・ブラウン



女性の人権と人間の安全保障

 この一世紀の、社会・政治・経済面における最も印象的な変化といえば、ほとんどすべての国であらゆる社会生活の場面において、女性が指導者として躍進したことが挙げられる。しかし、「国際女性の日」を祝す一方で、道のりはまだ遠いことを認識しなければならない。先進国・途上国共に、議会・ビジネス・教育の分野における女性の比率や、女性の暴力と差別から保護される権利など、男女同権の達成にはさらなる努力が必要である。

 内戦や武装闘争から復興を遂げようとしている地域において男女同権は特に重要である。紛争の影響を最も大きく受けるのは女性や子供であること、また、そのような状況下においてジェンダーによる暴力が世界的に増加していることへの認識は広まりつつあるが、平和構築プロセスへの女性参加は未だ限られている。

 近年、特にこの6ヶ月の間、平和のために団結する女性同士のパートナーシップ構築の動きが見られる。UNDPはこれらの女性グループを、正当性を持つというだけではなく、世界の解決困難なあらゆる紛争を女性であるが故に解消しうる可能性を持つことに注目し、支援を行っている。

 例えば、シエラレオネのフリータウンでは女性が座り込みストライキを行い、市の機能を麻痺させ、政府に対してロメ平和協定の実施義務をせまり、役人が日常的に国民に報告を行うことを要求した。フィリピン、ルワンダ、ソマリア、そしてスーダンでは、女性が民族を超えて地域の緊張を緩和するためのパートナーシップを構築している。先住民族が何十年もその伝統や文化を守ろうと苦闘しているフィリピンの山岳地域では、女性が国の法律と地域の慣習を並存させようと新しいルールやメカニズムを提言している。アルバニアでは、流通している多くの武器や弾薬を回収することに成功しているUNDPの「開発のための武器」プロジェクトへ女性が積極的に参加している。彼女達は、武器を放棄するよう地域住民に働きかけるという点で非常に重要な役割を担っている。

 私たちは、国連婦人開発基金(UNIFEM)を通じて、暴力継続を正当化するために伝統の名が騙られていることに兆戦すべく、画期的な手段を展開している。UNIFEMに支援されているプロジェクトは、いかにして女性団体が宗教指導者や地域と協力して、女性性器切除やいわゆる「名誉殺人」の慣習を改めていけるかを実証している。これらのプロジェクトを通じ、家庭及び地域ごとに女性や少女の生命に対する尊敬を培かい、ジェンダーによる暴力がいかなる伝統や文化にも属するものではないということへの理解を構築しつつある。

 UNDPの取り組みは、持続可能な平和構築には女性の意思決定への参加が必要不可欠であるとの理解に基づいている。ボツワナ、ケニア、ルワンダ、スワジランド、タンザニア、そしてウガンダにおいて、UNDPは女性の政治参加を妨げる法律の改正を働きかける非政府団体(NGO)と国会議員との連携を支援している。パキスタンでは、女性が地方議会において3分の1の議席を確保するという政府の目標を達成するために、草の根レベルでのオリエンテーションを含む全国的な情報・啓発キャンペーンを、私たちは展開している。インドでも、地方議会で女性が議席の3分の1を確保するという同様の目標を立てているが、私たちは新たに選出された議員に対して行政の近代的な手法について研修を行っている。

 私たちは今、アフガニスタンで、人権を擁護し、女性のエンパワーメントを支援するための歴史的な機会を得ている。他の地域と同様に、アフガニスタンにおいても女性の早急な地位向上が、文化相対主義を議論したり、女性が参加することへの慎重論を唱えたりすることによって妨げられてはいけない。復興開発計画への男女の平等なアクセス確立に向け精力的に努力をするだけでなく、全体的なあらゆる側面において女性の直接参加を確かなものにする必要がある。特に女子の教育という非常に重要で、長い間軽視されてきた問題に焦点を当てる必要がある。また、私たちはアフガニスタンの女性団体と共に、将来女性が全面的に政治参加できるよう働きかけている。

 アフガニスタンの女性に起こったことは、その国や地域が女性への扱いと人権擁護への姿勢がより広範な国際的規範や基準をどれだけ尊重しているかを知る最も良い指標となることを示している。

 否定されてきた女子には教育を、また家庭や職場でこれまで黙って暴力に耐え続けてきた母親や妻には保護を、そして全ての国の、全ての女性に真の政治的・経済的中枢へのアクセスを提供し、選択肢や機会を与えられてこなかった人々に選択肢と機会を与えることが、先進国・途上国を問わず私たちに課せられた責務である。


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