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ゴール5

ターゲット5-A:2015年までに妊産婦の死亡率を1990年と比較して4分の1に削減させる。

Human Security Unit,the United Nations;Photograph by Julie Pudlowski

妊産婦の妊娠中、または出産期が終わってから42日以内の妊産婦の死亡(不慮の事故などの理由は除く)を妊産婦死亡と呼び、出生10万件あたりの割合を妊産婦死亡率といいます。妊産婦死亡率は1990年から2005年までの間に年1%足らずしか低下していません。とくに、妊産婦死亡率が最も高いサハラ以南アフリカでは、ほとんど進展が見られません。

妊産婦死亡の5件中4件は、妊娠と出産によって起こる合併症が原因です。多量出血、感染症、危険な中絶、難産、妊娠中毒症による高血圧症が引き起こすけいれんなどが挙げられます。栄養失調も、妊産婦の健康状態に影響を及ぼします。

子どもを産む回数が多ければ多いほど、妊娠・出産に関するリスクが高まります。
途上国では、女性が生涯に産む子どもの平均数(合計特殊出生率)が、先進国に比べ相対的に高いことから、生涯を通じて、これらの問題に直面する可能性が高いと考えられます。

妊産婦死亡率を下げるためには、専門的な知識や技術がある医師、看護師または助産師の立ち会いによる出産や、合併症が生じた場合に備えるための適切な機材と医療機関照会制度の導入が必要です。

2006 年、開発途上地域での出産のうちほぼ61%が、熟練した医療従事者の立ち会いのもとに行われました。これは1990 年の53%未満と比べれば改善傾向にあることを意味しています。とはいえ、妊産婦の死亡者が最も多い南アジア(42%)とサハラ以南アフリカ(44%)では、この割合が依然として低いのが現状です。

同じ国の中でも、教育を受けている女性ほど、出産する子どもの数は少ない傾向にあります。教育を受けることで、女性自身が希望する家族の形を決めることにもつながると言えるでしょう。

ターゲット5-B:誰もがリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)関連のケアやサービスを受けられるようにする。

Human Security Unit,the United Nations;Photograph by Julie Pudlowski

リプロダクティブ・ヘルスとは:
人間の生殖システムにおいて、単に疾病などがないだけではなく、身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態にあることを意味しています。安全で満ち足りた性生活を営み、生殖能力を持ち、子どもを産むか産まないか、いつ産むか、何人産むかを決める自由をもつことを意味している概念で、1994年にカイロで開催された「国際人口開発会議」で採択されました。
具体的には、思春期保健、生殖年齢にあるカップルを対象とする家族計画と母子保健、人工妊娠中絶、妊産婦の健康、HIV/エイズを含む性感染症、不妊、レイプや家庭内暴力など、ジェンダーに基づく暴力などが含まれると考えられています。

ユニセフや世界保健機関(WHO)は、最低4回は出産前に健診を受けることを奨励しています。それによって、破傷風の予防接種や感染症の健診など、必要なケアを受けることが可能になるからです。現在、途上国の約8割の女性が、妊娠中に最低一回は健診を受けています。しかし、サハラ以南アフリカや南アジアで4回の健診を受ける女性は、全体の半数以下にすぎません。

また近年指摘される問題のひとつに、未成年の妊娠があります。サハラ以南アフリカや南アジアでは、早すぎる結婚と妊娠の事例がしばしば報告されていますが、早い出産は、母体の準備が整わない段階で出産するために、妊産婦の死亡リスクを高めるおそれがあります。

思春期の妊娠と出産は、母体や生まれる子どもの健康に影響するだけではありません。
若い母親は、教育や社会経済的機会に恵まれない場合が多くあります。未成年で子どもを産んだ母親は、栄養や衛生などに関して十分な知識を有していないため、子どもを適切かつ健康に育てることができなかったり、子どもに教育を受ける機会を提供することができないこともあります。したがって、未成年の妊娠を減らすことが、リプロダクティブ・ヘルスの問題に貢献できるといえます。

さらに、誰もがリプロダクティブ・ヘルス関連のケアやサービスを受けられるようにするためには、家族計画も不可欠だと考えられています。

Human Security Unit,the United Nations;Photograph by Julie Pudlowski

家族計画とは:
カップルまたは個人が、自発的に、子どもをいつ、何人産むのか計画すること。また、そのために出産の間隔と時期を調節するよう、意識的に努力することです。

サハラ以南アフリカでは、ほぼ4 人に1 人の既婚女性は、家族計画を必要としていても実行できず、避妊手段の利用も、妊娠を遅らせたいという女性の望みにほとんど応えられていないのが現状です。
そのため、サハラ以南アフリカでの合計特殊出生率は依然として高く、また幼児死亡率も低下せず、飢餓と栄養失調、初等教育就学率も改善しないため、他の関連する目標の達成も難しくしています。

特に、妊娠間隔をあけることを希望する若い女性には、家族計画が必要です。出産間隔が短いと、女性の生命や健康に対する危険性が高まるからです。また、女性が避妊手段を利用できなければ、望まない妊娠や、出産をする可能性もあります。これは、妊産婦死亡の危険性を高めるだけではなく、家族が子ども全員に学校教育や医療を確保することが難しくなってしまうことにもつながります。

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