国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所のウェブサイトは2013年9月に移転しました。

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ゴール1

ターゲット1-A: 2015年までに1日1ドル未満で生活する人々の数を半減させる。

Human Security Unit,the United Nations;Photograph by Julie Pudlowski

「貧困とは、ひもじいこと、孤独なこと、夜になっても帰るところがないこと、はく奪状態にさらされていること、差別されること、虐待されること、読み書きができないこと」
ガイアナの未婚の母親

「貧困は犯罪である。なぜなら人が人であることを許されないから。われわれ全人類を最も冷酷に否定するものである」
コロンビアの教育者

「富はわれわれが掛けている毛布である。貧困とはその毛布がはぎ取られることだ」
ボツワナのNGOメンバー

(『人間開発報告書1997年版:貧困と人間開発』より)

2005年の時点で、サハラ以南アフリカの人々は2人に1人の割合で1日1.25ドル以下の生活を余儀なくされています(途上国全体では4人に1人)。90年以後、全体に占める割合は改善傾向にありますが、人口増加により、絶対数は1億人も増えています。
まずしいということは、さまざまな問題を引き起こします。十分な食べ物と栄養をとることが難しかったり、きれいな水を利用できなかったり、学校に通えなかったり、病気になっても病院に行けなかったり、また読み書きができずに十分な意思疎通が難しくなる可能性があります。また、そうした事情から、安定した収入を得たり、社会の一員として意思決定に参加したりできず、日々を生き延びることに精いっぱいになり、その結果、貧困状態から抜け出すことが難しくなります。
2007年や石油・食料価格の高騰や2008年に発生した世界規模の経済危機の結果、まずしい人々の生活はより苦しくなり、失業したり家族からの仕送りが減ったりして、さらに多くの人々が、厳しい状況におかれています。

さらに、紛争が原因で、一家を支える働き手を失ったり、長年住み慣れた家を追われたりして、まずしい状態に陥ることもあります。

貧困には、特定のグループ内における相対的なまずしさ(分配の問題)と、絶対的なまずしさ(欠乏の問題)があります。世界銀行は、絶対的なまずしさを測るための国際的な水準として、一日1.25ドルを「貧困ライン」と定め、それ以下で生活する人々を貧困人口と呼んでいます。

所得や消費の水準は、絶対的にまずしい人々の数や困窮の度合いを把握し、貧困削減の進み具合を可視化するうえで有用ですが、それだけではまずしさのすべての側面を捉えることはできません。人間が生きていくためには、個人の所得のみならず、基礎的医療や教育といった必要最低限のニーズ(ベーシック・ヒューマン・ニーズ)が満たされることも不可欠です。

経済学者のアマルティア・センが提唱し、UNDPが開発へのアプローチとして採用している人間開発(Human Development)という考え方は、貧困と能力の関係にも着目しています。生活に困っているだけでなく、健康を害して長生きできなかったり、教育を受けられず知識を得て活用するすべを知らなかったり、社会の一員として認められず自分の人生を左右する重要な意思決定に参加できないことも、人々から尊厳や価値のある人生をおくる機会を奪い、まずしさに追いやってしまうという考え方です。UNDPは1990年以来、人間開発の度合いを測る「人間開発指数(Human Development Index:HDI)」という指標の国別動向を発表する一方、このようなまずしさの状態(はく奪状態)を数値化するために、1997年に「人間貧困指数(Human Poverty Index:HPI)」を発表しました。人間開発指数と人間貧困指数は毎年『人間開発報告書(Human Development Report)』で公開されています。

ターゲット1-B:女性と若者も含め、働く意思と能力があるすべての人々が、適正な賃金で、適切な仕事を得られるようにする。

Human Security Unit,the United Nations;Photograph by Julie Pudlowski

2007年以降の石油・食料の価格高騰とそれに続く経済危機は、極度の貧困状態で生活する人々の生活に深刻な影響を及ぼしています。サハラ以南アフリカでは、仕事があるにもかかわらず1日1.25ドルの「貧困ライン」以下の生活を余儀なくされている「ワーキング・プア」の人々の割合は、2007年の58%から2008年には64%へと増加しています。途上国全体で雇用不安を抱える人口も、1年間で7700万人も増加しました。

貧困の原因の一つに、働く意思を持っていても仕事がなかったり、働けたとしても低賃金であるために貧困から抜け出せない、という問題があります。たとえば、サハラ以南アフリカの就業率は73%と地域別にみて世界で2番目に高い水準にありますが、生産性は最も低く、就業している人の半分以上の人々が深刻な「ワーキング・プア」の状態に置かれています。また、同じ国内でも、地域や所属しているグループによって所得格差が生まれるという不平等な状況が起こることもあります。

まずしい生活から抜け出すためには、適切な手段=適正な賃金で、仕事ができる雇用機会を継続的に提供する必要があります。また、国の経済成長を促すことで、人々の所得を向上させることも期待できます。

ターゲット1-C:2015年までに飢餓に苦しむ人を半減させる。

Human Security Unit,the United Nations;Photograph by Julie Pudlowski

1990年以後着実に減少傾向にあった栄養失調者の割合は、2008年、食料価格高騰の影響により増加に転じてしまいました。また残念ながらその絶対数は確実に増加傾向にあります。世界で8億4000万人の人々が栄養失調、そのうち途上国で生活するのは7億9900万人に上ります。サハラ以南アフリカでは3人に1人が栄養失調状態にあります。

世界で8億人を超える人が飢餓状態にありながら、世界の穀物生産高自体は世界人口の2倍を養うほどあります。つまり、世界で生産される食料の分配を公平に行えば、栄養失調に苦しむ人がいなくなることを意味しています。単に食料がないことが、飢餓を引き起こしているのではないのです。

貧困のために食料を買えない、耕地の環境が悪く農業生産量が少ない、紛争によって農業生産や輸送、販売ができなくなってしまった、清潔な水や医療など生活に必要な設備が整っていない、などのさまざまな理由で、食料へのアクセスが不足していることが原因です。

こうした食料不足により特に影響を受けやすいのが、5歳以下の子どもです。サハラ以南アフリカでは子どもの約28%が低体重児となっています。低体重児は免疫力を高めるために必要な栄養が不足しているために、病気にかかりやすく、健康に成長することが難しくなります。

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