貧困とは

世界中で12億以上の人々が1日わずか1ドルで生活しています。20億人以上が1日2ドル未満で生活し、8億5,000万人以上が日々の食べ物にも事欠く毎日を送っています。

 貧困とは、教育、仕事、食料、保健医療、飲料水、住居、エネルギーなど最も基本的な物・サービスを手に入れられない状態のことです。極度の、あるいは絶対的な貧困とは、生きていくうえで最低限必要な食料さえ確保できず、尊厳ある社会生活を営むことが困難な状態を指します。

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貧困と教育

この地球上に暮らす人間が100人だとしたら、そのうち15人は読み書きができないことになります!

 低収入や無収入がもたらす最大の影響、それは教育の欠如です。貧しい人々は訓練を受けることができません。教育や技能取得、職業訓練の機会を奪われた人にとっては、働き口を見つけることも、自ら事業を興す才能を伸ばすことも難しくなります。貧困が足かせとなり、子どもも大人も学校に通うことができません。近代科学技術の発展はすべての人々に恩恵をもたらしているわけではなく、貧富の差はますます拡大しています。例えば、人里離れた地域に住む貧しい人々は、ただ学校があまりにも遠いという理由だけで、学校に通うのが困難なこともあります。

この地球上に暮らす人間が100人だとしたら、インターネットにアクセスできるのはわずか5人に過ぎないのです。

貧困と労働

この地球上に暮らす人間が100人だとしたら、全体の富の約90%を上位20人が消費している一方、下位20人の消費量はたったの1%に過ぎません!

 失業、不安定な雇用形態、不当な低賃金雇用は、食料、保健医療、飲料水、エネルギーなど生きていくために欠かせないものを手に入れる能力に大きな影響を与えます。社会から疎外され取り残された人々はときに自尊心を失い、やがて地域の社会的、文化的生活からも排除されてしまう恐れがあります。収入が無いと人間の生活は大幅に制限され、貧困の悪循環に陥ります。つまり、仕事がなければ十分な収入が得られず、結果的に生計を維持し貧困から逃れることが事実上不可能になるのです。

この地球上に暮らす人間が100人だとしたら、そのうちの最も裕福な20人は最も貧しい20人の74倍もの収入を得ていることになります。

貧困と水・食糧

この地球上に暮らす人間が100人だとしたら、そのうちの子ども3人を含む15人が栄養不良です!

 無収入であること、あるいは十分な収入がないことは、自分の食糧を確保し生産することが出来ないということを意味します。栄養失調は、子どもの勉学への集中力を低下させるばかりか、大人の生産能力にも影響を与えます。貧しい人は十分な知識を得られなかったが故に、栄養価の高い食べ物を選ぶことができず、生産性の低い方法で食糧生産をしてしまいます。これは健康や地域の収入に直接的な影響を及ぼしています。

この地球上に暮らす人間が100人だとしたら、そのうちの22人は安全な飲み水を口にできない状況に置かれています。

貧困と健康

この地球上に暮らす人間が100人だとしたら、そのうちの14人は基礎的な保健医療サービスを受ける権利がないことになります!

 貧困層を含むすべての国民が全く同等の保健医療サービスを受けられる国は、この世界に一国としてありません。途上国ではなおさらです。相当数の人々が知識の欠如、つまり教育や情報の欠如ゆえに、医薬品や食料の選択を誤っています。職場では、病気や脆弱な健康状態が生産性を低下させ、職を失う原因ともなりかねません。学校ではこれが子どもの学力低下につながります。十分な情報がなく適切な治療も受けられない結果、貧困国ではエイズが一段と猛威を振るっています。

この地球上に暮らす人間が100人だとしたら、そのうちの13人は40歳までしか生きることができないのです。

貧困と住居

この地球上に暮らす人間が100人だとしたら、そのうちの17人は快適な住居を持たず、33人は電気を利用できません!

 貧困によって、都市や農村を問わず何百万もの人々がホームレス生活を強いられ、劣悪な条件下での生活を余儀なくされています。収入不足のために貧しい人々は最低限の快適さを確保することもかなわず、まして電気や電話を利用することもできません。居心地の悪い住居では、子どもは落ち着いて勉強することができないうえ、安全が確保されていない結果、命も危険にさらされることになります。貧困地区では行政サービスが機能せず、土地の不法占拠が横行することもあります。

この地球上に暮らす人間が100人だとしたら、そのうちの57人がアジア人、21人がヨーロッパ人、6人が北アメリカ人、8人が南アメリカ人、8人がアフリカ人になります。

貧困と社会的、文化的排斥

この地球上に暮らす人間が100人だとしたら、そのうち最も裕福な20人で電話回線の74%を保有していることになります!

 収入が無いことや十分な収入が得られないことから、大勢の人々が地域の文化・社会・スポーツ活動に参加する機会を奪われています。貧困層や失業者は社会的排斥や疎外の一番の犠牲者です。豊かな国、貧しい国を問わず、社会的に疎外された人は自信を失います。中には悲惨な貧困の淵に深く沈み込み、ますます孤立していく人もいます。社会や家庭の後ろ盾のない子どもたちは頼るあてもなく、非行に走る恐れがあります。社会的排斥は人々から機会を奪い、社会的ネットワークや地域社会での生活における役割を奪うことになります。

地球の人口が100人だとしたら、そのうちの24人しかテレビを持っていないことになります。

貧困と環境

環境汚染は毎年、全世界の約250万人の命を奪っています!

土壌の劣化と侵食、化学薬品の使用や乱用、長期にわたる過剰な放牧や森林伐採が小規模自作農民の収入を圧迫し、彼らを貧困に追いやっています。大気、水、土壌の汚染は地球のあらゆる生命の健康を脅かしています。教育を受けられず情報が得られないため、貧困層は天然資源を適正に管理することができないばかりか、持続可能な環境保護を計画し実践することもできません。

21世紀が幕を開けた今日、哺乳動物の12%、鳥類の11%、魚類・爬虫類の4%が絶滅の危機に瀕しているのです。

貧困と女性

この地球上に暮らす人間が100人だとしたら、15人の成人は読み書きができず、そのうち10人は女性によって占められています!

 女性は男性以上に多様な貧困の苦しみを味わっていますが、これは女性があらゆる種類の著しい不平等の犠牲者であるためです。例えば、女性は教育、保健医療、生産手段、財産、責任ある政治的地位への機会を男性と平等に与えられていません。しかしながら、生産や社会生活において女性は重要な役割を担っているのです。農業・酪農、繁盛して大忙しの店の経営、地域社会とのつき合い、子どもの養育など、女性は社会にとって重要な存在です。女性が貧しければ、社会全体が病んでいきます。

全世界の平均を見ると、政府閣僚に占める女性の割合はわずか7%、女性議員の割合は12%に過ぎません。