TICADの成功事例

カメルーンの情報格差解消への取り組み

TICADイニシアティブは、アジアで培われた経験を活かし、アフリカにおける情報通信技術 (ICT) の整備を加速させてきました。知識型の社会へと一気に変貌を遂げるために、アフリカは情報技術とノウハウへのアクセスを拡充する必要があります。TICADプロセスは、アフリカに対する情報技術の移転を加速させるために、努力を傾けるべき分野と方法を特定するための支援を提供しています。

TICADのITイニシアティブが資金提供したプロジェクトにより、カメルーンのヤウンデ大学の学生はインターネットで豊富な情報に容易にアクセスできるようになりました。UNDPは、このヤウンデ大学のプロジェクトは、シスコ・ネットワーキング・アカデミー・プログラムが運営し、UNDPが調整役を担っています。

つい最近まで、学生はわずか数台のコンピュータしか利用できず、インターネットへのアクセスも電話線による不安定な接続に限られていました。このため、学生は専攻分野の最新の研究や情報に追いつくことが困難な状況に置かれていました。しかし、このプロジェクトによって無線接続によりインターネットへの高速アクセスが可能となり、端末コンピュータの台数も増加えました。

ITイニシアティブは、ナイジェリア、タンザニア、ザンビアなどで、情報格差の解消と、ICT活用を促進する規制の枠組の整備に取り組んでいます。イニシアティブはカメルーンにおいては特に、国家レベルのICT政策策定、ICT関連の人材育成および組織能力の強化、さらには南南協力の推進に向けて、ICTが実現するビジネス・チャンスを民間セクターが最大限に活用できるよう支援しています。

パトリシア・デモウブレー国連常駐調整官兼UNDP常駐代表は、「TICAD ITイニシアティブは、各国政府への技術支援からUNDPが国別プログラムを実施するにあたっての環境整備にいたる優先課題に役立っています」と述べています。さらにTICADイニシアティブでは、UNDPに支援されたシスコ・ネットワーキング・アカデミーの取組みを通じて、カメルーン及び近隣諸国の教育関連主要機関にも無線のインターネット接続環境を整備する計画があります。

シスコ・ネットワーキング・アカデミーは、TICADイニシアティブとUNDPの支援を受け、2001年に創設されました。アカデミーでは、5人の公認インストラクターが約100人の学生に研修等を提供しています。学士号を取得していることがアカデミーへの入学要件となります。アカデミーでは、大学院生に対しては8カ月、専門家(社会人)に対しては6カ月の研修コースを提供しています。プログラム修了者は、シスコ公認ネットワーク・アソシエート学位を取得し、民間セクターや公共セクターへの就職に備えます。

ガブリエル・ヌグエッセング(Gabriel Nguetseng)アカデミー学長は、同アカデミーについて「ネットワーク、ウェブ構築、オフィス用ツール等の高いレベルの研修を提供する地域のセンターとしての評価を確立しつつあります」と述べています。

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