TICAD IV開催:希望と機会のためのアジェンダ

2008年5月26日 横浜(日本)

第四回アフリカ開発会議(TICAD IV)は、40カ国を超えるアフリカ諸国首脳が参加し、日本の福田赳夫総理大臣の主催によって5月28〜30日に横浜で開催されます。この首脳レベルのTICAD IVは、アフリカ開発をテーマとする今年最大の国際会議です。

アフリカ諸国の平均経済成長率が6%を記録し、平和構築とグッド・ガバナンスの努力が実を結びつつあり、さらに各国が気候変動と環境問題に取り組んでいるこの時期に開催されるTICAD IVは、「元気なアフリカを目指して:希望と機会の大陸」を基本メッセージに掲げています。

TICAD IVは、この目標を達成するため、1)成長の加速化、2)平和の定着、ミレ ニアム開発目標(MDGs)の達成を含む人間の安全保障の確立、3) 環境・気候変動問題への対処、を3本の柱としています。

TICADは、日本政府、国連アフリカ担当事務総長特別顧問室(UN-OSAA)、国連開発計画(UNDP) および世界銀行が共同主催するものです。TICADには、アフリカをはじめ、アジア等他の地域の各国、国際機関および国際NGOからハイレベルの代表が参加します。

第1の柱である成長の加速化について、TICAD IVでは、アフリカの力強い経済成長を自立的かつ包括的なものとし、貧しい地域社会も成長の恩恵を享受することを可能とするための方策について協議する予定です。この分野での議論では貿易と投資の拡大、インフラストラクチャーの整備、農業生産性の向上に焦点があてられます。

第2の柱を推進するため、TICAD IVでは、日本外交の基本政策の重要な視点のひとつである「人間の安全保障」の確立に向けた方策を議論する予定です。個人および社会の保護と能力強化を通じ、人々の欠乏や恐怖からの自由と、尊厳ある生命を全うできる社会づくりを目指す「人間の安全保障」に関する議論には、2015年までにミレニアム開発目標(MDGs)を達成するための取り組みの強化と平和の定着およびグッド・ガバナンスが含まれます。

アフリカ諸国は、MDGsの達成に向けた取組みを一段と強化する必要があります。国際社会の公約であるMDGsは、極度の貧困と飢餓の撲滅、乳幼児死亡率の削減、普遍的初等教育の達成、妊産婦の健康の改善、ジェンダー平等の推進と女性の地位向上、HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延防止、環境の持続可能性の確保、を目指しています。経済成長は貧困削減に寄与しているものの、依然としてアフリカの人口の40%以上が1日1ドル未満の生活を余儀なくされており、教育および保健システムの拡充が求められています。

第3の柱である環境・気候変動は、アフリカの社会経済開発にとって深刻な脅威であり、くりかえし発生する旱魃によって農地や牧草地が干上がる地域がある一方、洪水の脅威に晒される地域もあります。TICAD IVでは環境・気候変動問題への対処の強化策が検討されることになります。

TICADプロセスは、アフリカの指導者と開発パートナー間のハイレベルな政策対話として、1993年に最初のTICAD会議(第一回アフリカ開発会議)が開催されました。その後、プロセスは1998年開催のTICAD II、2003年開催のTICAD IIIと続き、アフリカの「オーナーシップ(自助努力)」とアフリカと国際社会の「パートナーシップ(協調)」という理念に基づき、アフリカの開発イニシアティブを促進する重要な国際的枠組みへと進化を遂げてきました。

TICADプロセスは、アジアとアフリカの協力を主要な特徴としています。日本政府は、アジアの開発の経験はアフリカに有益であるという信念から、この南南協力を促進しています。この信念は、貿易・投資および両地域間の技術協力の促進というイニシアティブに結実しています。

TICAD IVは、アフリカ諸国首脳、アフリカ連合(AU)委員会、アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)をはじめとするアフリカの地域機関のほか、各TICAD共催者、主要な国際・地域機関、先進諸国のパートナー、アジアその他の開発途上国、市民社会、非政府組織(NGOs)および民間セクターとの間で広範な協議を経て準備されてきました。

TICAD IVに向けた機運を高めるべく、これまでに地域準備会合が開催されました。2007年10月には、東・南部アフリカ諸国のための地域準備会合がザンビアのルサカで、翌11月には、北・西中部アフリカ諸国のための会合がチュニジアのチュニスで開かれました。2008年3月にはガボンのリーブルビルで閣僚級準備会議が開催されました。

TICAD IVは5月30日、TICADにかかわる諸団体のために、今後のアフリカ開発の指針とアプローチをまとめた「横浜宣言」を採択し閉幕する予定です。併せて、数値目標を掲げた行動型イニシアティブのためのロードマップを提示する「横浜行動計画」と「横浜フォローアップ・メカニズム」も採択される予定です。

さらにTICAD IV期間中には、2006年に創設された、医学研究・医療活動分野における卓越した業績を讃える「野口英世アフリカ賞」の第一回授賞式が実施される予定です。野口英世は、80数年前にガーナで黄熱病研究を続け、そのために病死した有名な日本人研究者です。

TICAD IVの成果は、2008年7月7日から9日まで議長国である日本によって開催されるG8北海道洞爺湖サミットの議論に反映されることが期待されており、アフリカの優先課題が世界経済をリードする主要国の議題として取り上げられることとなります。

以上
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