TICAD IV閣僚級準備会合において本会議の方向性が決定される

2008年3月20日 リーブルビル(ガボン)

3月20-21日、アフリカ各国外相、日本政府代表団、国連アフリカ担当事務総長特別顧問室(UN-OSAA)、国連開発計画(UNDP)、世界銀行、アフリカ連合(AU)が出席し、第四回アフリカ開発会議(TICAD IV )の閣僚級準備会議が開催されます。アフリカ開発をテーマとする今年最大の国際会議となるTICAD IVは、今年5月28-30日の日程で、横浜において開催される予定です。

昨年、ザンビア、ルサカとチュニジア、チュニスで開催された地域準備会合における議論と成果を踏まえ、リーブルビルで開催される今回の閣僚級準備会議は、TICAD VIのテーマ「元気なアフリカを目指して:希望と機会の大陸」を新しいイニシアチブに転換するという議題が中心となる予定です。TICAD IVの成果は、今年7月7日から9日まで開催されるG8北海道洞爺湖サミットにおける議論に反映されることが期待されています。

TICAD IVの共催者である日本政府、UN-OSAA、UNDP、世界銀行は、AUとの協力のもと、TICAD IVのフォローアップとしてアフリカのための包括的な開発計画を策定する予定です。また、今回の閣僚級準備会議には、アフリカの開発を支援するアジア地域の各国、地域機関及び国際機関、市民社会組織から、ハイレベルの代表が参加します。

「TICADが、今後4-10年の中長期的課題に効果的に取り組み、将来に向けて大きく飛躍する時が来ました。TICAD IV閣僚級準備会議は、そのためのメカニズムを打ち出す最初の場となります」と日本の高村正彦外務大臣は述べています。

「リーブルビルにおけるTICAD VI閣僚級準備会議は、アフリカ各国外相、共催者、その他パートナーにとって、アフリカの開発支援のためにTICAD IVを新たに飛躍させるための方向性を決定する、極めて重要な会議です」と、UNDP代表団長であるボウナ・セマウ・ディオフUNDPアフリカ局アフリカ開発会議(TICAD)部長/アフリカ局長(国連事務次長補)上級顧問は語りました。

エル・ハジ・オマール・ボンゴ・オンディンバ ガボン共和国大統領は2日間の会合の開会式の場において、参加者に歓迎の意を表する予定です。開会式および共催者・各国外相の演説に続き、午後の分科会では、TICADの3つの優先分野である成長の加速化、平和の定着、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成を含む「人間の安全保障」の確立、及び環境・気候変動問題への対処に焦点があてられる予定です。

2日目も引き続き分科会が行われ、南南協力、民間セクター、民間の財団や市民社会組織との協力およびジェンダーなど、TICAD IVの分野横断的要素が議論される予定です。2日目の午後には分科会の結果の報告を受けて全体会議が開かれ、その後閉会式が行われる予定です。

第一回アフリカ開発会議(TICAD I)は、アフリカの指導者と開発のパートナー間のハイレベルな政治対話として1993 年に開催されました。TICADはその後、アフリカ諸国の「オーナーシップ(自助努力)」と国際社会および開発パートナーとの「パートナーシップ(協調)」という理念に基づき、アフリカの開発イニシアチブを促進する重要な国際的な枠組みへと進化を遂げてきました。

TICADプロセスの成果の一つに、アフリカ・アジア・ビジネス・フォーラム(AABF)があります。2007年2月にタンザニアのダルエスサラームで開催された第四回目のABBFは、アフリカ経済の成長加速を後押しする1億5,600万米ドル相当の商談の機会を提供しました。

TICADフレームワークにおいては、日本政府が10億ドルを拠出し、アフリカ開発銀行(AfDB)が管理・運営する「アフリカ民間セクター開発のための共同イニシアチブ(EPSA for Africa)」を通じた中小企業の資金調達メカニズムの整備に向けた協議も進められています。

「人間の安全保障」は、日本政府の政策及びTICADプロセスにとって重要な理念です。これには、貧困、飢餓、識字率、HIV/エイズその他の疾病、女性及び女の子に対する差別、環境劣化などの開発課題につき、2015年までに状況を改善することを掲げた8つのミレニアム開発目標(MDGs)達成に向けた取り組みを加速させることが含まれています。

TICAD IV地域準備会議においては、MDGsが掲げる初等教育の完全普及は優先課題であり、特に農村部においては学校建設・教職員の確保および教材の提供が重要であるという点が認識されました。保健医療関連の目標に関しては、HIV/エイズ、マラリア、結核のまん延との闘いが引き続き優先課題であり、プライマリー・ヘルスケア・サービスの提供を改善・充実させるための能力構築の必要性が指摘されました。

日本政府の人間の安全保障への貢献の基礎をなすのが「国連人間の安全保障基金」であり、1999年の創設以来、これまでに累積額335億米ドルが拠出されました。「人間の安全保障基金」はこれまで、国連諸機関が実施する約180件のプロジェクトを支援してきました。これには、アフリカのコンゴ民主共和国、リベリア、シエラレオネ、スーダン等の国々において平和の定着や民主化を促進する50件を超すプロジェクトが含まれています。

TICADの第三番目の優先課題である環境問題のなかでも、気候変動はアフリカの持続可能な開発にとって最大の脅威の一つであり、天然資源の保護と持続可能な利用に影響を与え、その影響が数十年にわたりアフリカの社会経済成長に歯止めをかけるおそれがあります。気候変動によってマラリアなど感染症が発生・まん延する危険性もあります。TICAD IV地域準備会合では、アフリカ各国の適応計画の策定・実施、そして適切な技術による再生可能な代替エネルギーの開発、特に気候変動の影響を最も受けやすい貧困地域社会のための取り組みを支援することが肝要であるという点で、参加者の意見が一致しています。

以上
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