アフリカにおける平和定着への努力に焦点をあてたTICAD平和の定着会議

2006年2月17日、アディスアベバ (エチオピア)

アフリカの紛争後国の平和の定着に関する会議は、日本政府が6,000万米ドルの新たな支援を約束し楽観的な雰囲気が高まる中、本日閉会しました。

「新イニシアティブにおける当面の対応として、日本政府は、2006年3月末までに、約6000万米ドルの支援を供与します。我々の支援は、平和の定着プロセスが重要な局面を迎えている地域及び国に特に重点を置いています」と、基調演説において塩崎恭久外務副大臣は述べました。

日本政府、国連アフリカ担当事務総長特別顧問室 (UN-OSAA) 、アフリカのためのグローバル連合 (GCA) 、国連開発計画 (UNDP) 、世界銀行の共催により2日間にわたって開催されたTICAD平和の定着会議には、73カ国、38地域・国際機関、市民社会組織(CSO)および非政府組織 (NGO) 20団体から400人以上が参加しました。今後の取り組みに関連し、参加者は、再発防止には紛争の根本原因に対応することの重要性を認識し、平和の定着プロセスにとって人間の安全保障が重要なコンセプトであることを強調しました。

「TICAD平和の定着会議の提言は、新設された国連平和構築委員会の活動のための実用的手段として有益な役割を果たすでしょう」と、UNDP代表団長であるボウナ・セマウ・ディオフ国連開発計画 (UNDP) アフリカ局アフリカ開発会議 (TICAD) 部長/アフリカ局長 (国連事務次長補) 上級顧問は語りました。「また、これら提言は、アフリカ連合 (AU) が紛争後の復興及び開発の枠組みを構築するうえでも参考にされることでしょう」と、ディオフTICAD部長は付け加えました。

平和定着の分野では、治安確保、政治ガバナンス・体制移行、コミュニティ復興及び社会経済開発の3分野について議論が行われました。治安確保については、当事者の政治的意思とオーナーシップが政治的安定と平和の持続を長期にわたって確保するために不可欠という点で参加者の意見が一致しました。また、選挙などの政治プロセスと併行して、小型兵器 (SALW) 対策プログラムや元兵士の武装解除、動員解除、社会復帰(DDR)が実施されるべきことが強調されました。

政治ガバナンス・体制移行の分野では、アフリカ開発のための新パートナーシップ (NEPAD) の「アフリカにおける相互審査システム (African Peer Review System: APRM) や地域経済共同体 (RECs) などのアフリカ主導の取組みが積極的な役割を担う可能性がある一方、国際社会による、調和がとれ、一貫したアプローチの必要性も認識されました。また、体制移行プロセスに人々の声を反映させるためには、CSOやNGOの役割が可欠であることが強調されました。これを実現させるうえで、女性が非常に重要な役割を果たすことが確認されています。

UNDPがコーディネーターを務めたコミュニティ復興・社会経済開発に関する分科会の参加者は、戦争で被害を受けたコミュニティの再建には、安全な水や公衆衛生を含めた基礎生活分野 (BHN) での支援、学校、橋、病院など基本的インフラ整備、キャパシティ・ビルディングや他の関連策を通じた地域の能力向上が必要であると強調しました。一部の参加者からは、持続可能な成長のための経済インフラの整備、そして資金流入・外国直接投資・国際金融機関の支援、特に世界銀行やアフリカ開発銀行が新たに導入した融資を誘引するためには、債務救済問題と多国間金融機関によるアフリカの紛争後国及び国家基盤の脆弱な国への貸し付け方針の見直しが必要であるという意見が提出されました。

アフリカの様々な武力紛争は、経済活動の崩壊や一般市民の生活の寸断など深刻な人的被害をもたらしました。1993年のTICADプロセス開始以来、難民や国内避難民支援、元兵士および紛争当事者の武装解除・動員解除・社会復帰 (DDR) 、地雷除去活動、小型武器(SALW)の回収と廃棄を目指す幅広い取り組みを支えています。日本政府は、2003-2005年の間にアフリカ諸国に約3億5,000万米ドルの支援を提供しています。

以上
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