ミレニアム開発目標(MDGs)とは

 2000年9月、ニューヨークの国連本部で開催された国連ミレニアム・サミットに参加した147の国家元首を含む189の国連加盟国代表が、21世紀の国際社会の目標として、より安全で豊かな世界づくりへの協力を約束する「国連ミレニアム宣言」を採択しました。この宣言と1990年代に開催された主要な国際会議やサミットでの開発目標をまとめたものが「ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs)」です。MDGsは国際社会の支援を必要とする課題に対して2015年までに達成するという期限付きの8つの目標、21のターゲット、60の指標を掲げています。

ミレニアム開発目標(MDGs)首脳会合

 2010年9月20−22日、約140か国が参加してミレニアム開発目標(MDGs)首脳会合がニューヨークの国連本部で開催されました。MDGs達成期限の2015年まで残すところ5年となったのを機に、MDGsの進ちょく状況や課題を検証し「食糧高沸や経済危機による後退はあるものの、多くの国で貧困人口の減少、就学率の向上、健康状態の改善では著しい前進をしている」と評価しました。一方、MDGsの中でも、母子保健分野の遅れが目立っており、潘基文(パン・ギムン)・国連事務総長は、全世界で1600万人以上の女性と子供の命を救うための「女性と子どもの健康の実現に向けたグローバル戦略」を発表しました。国連事務総長と各国首脳は民間企業、財団、国際機関、市民社会、研究機関とともに女性と子どもの健康増進に向け、400億ドルを超える資金の拠出を約束しました。日本から出席した菅直人首相も5年間で、同戦略に総額85億ドルを拠出する「菅コミットメント」発表をしました。首脳会合は、今後5年間の具体的な行動計画なども盛り込んだ成果文書「約束の実行:MDGs達成のために団結(Keeping the promise:united to achieve the Millennium Development Goals)」を採択し、閉幕しました。


©UN Photo/Rick Bajornas

©UN Photo/Eskinder Debebe

(写真左右とも)2010年9月、ニューヨーク国連本部でのMDGs首脳会合の様子


MDGs達成に向けたUNDPの取り組み

 ミレニアム開発目標(MDGs)の達成には、各国政府が最も重要な責任を担っていますが、国際機関、民間セクター、財団、研究機関、非政府組織(NGOs)を含む市民社会、個々人による貢献も必要です。

 UNDPは国連システム(※1)のグローバルな開発機関として、途上国が自ら開発目標を達成できるように172か国で活動をしています。MDGs達成を組織の重点分野(※2)の1つに掲げ、各国政府に対する政策・技術アドバイスや資金援助を行う一方、国連システムによる支援活動を調整し、各国でMDGsの進捗状況をモニターしています。さらにUNDP総裁は、国連におけるMDGs「キャンペーン・マネジャー」兼「スコア・キーパー」を務めており、世界中でMDGsへの関心を高め、MDGs達成が開発支援の中心になるよう助言と支援をしています。MDGs達成に向けたUNDPの主な活動は以下の通りです。

  • ※1 国連システムとは、国連憲章が定める6つの主要機関:総会、事務局、安全保障理事会、経済社会理事会、信託統治理事会、国際司法裁判所に加えて、国連総会の補助機関や専門機関を含みます。その中には、国連開発計画(UNDP)、国連ボランティア計画(UNV)、国連児童基金(UNICEF)などの計画や基金、国連大学などが含まれます
  • ※2 UNDPの4つの重点分野:1)貧困削減とMDGsの達成 2)民主的ガバナンス 3)危機予防と復興 4)環境と持続可能な開発

◆計画と評価

 各国のMDGsの進ちょく状況を包括的に評価し、2015年の達成期限に向けた戦略の策定・実施を支援

 UNDPは、MDGs達成に向けた進ちょく状況をデータや実施プロジェクトなどに基づき評価・分析し、MDGs達成に欠かせない 戦略・政策を各国政府や国際社会に向けて広く提言しています。2010年6月に刊行した報告書「What will it take to achieve the Millennium Development Goals? An International Assessment」では、世界的なデータを分析すると ともに、50か国のMDGs達成に向けた事例を調査・分析し、その結果を8つの重点項目にまとめて提言しました。この提言内容 は、2010年9月にニューヨークの国連本部で開催されたMDGs首脳会合の成果文書にも反映されました。

事例1MDG加速フレームワーク(MAF)

 UNDPは、今後MDGsのなかでも特に達成が難しい目標に対し国単位で取り組み、MDGsを達成するための実践的なアプローチとして、MDG加速フレームワーク(MAF)を開発しました。UNDPがまとめた過去10年間の実証結果に基づいて開発されたMAFは、各国がMDGs達成を目的とする既存の計画とプロセスに基づき、それぞれの行動計画を策定を体系的に支援するものです。各国政府はMAFを利用することで、不均衡発展の二大要因である格差と不平等の問題に焦点を当て、社会的弱者のニーズに応えることができます。2010年のはじめには、10か国(ベリーズ、コロンビア、ガーナ、ヨルダン、ラオス、パプアニューギニア、タジキスタン、タンザニア、トーゴ、ウガンダ)が、UNDPおよび国連システムの支援を受けて試験的にMAFプロジェクトを開始しており、既に成果を挙げています。MAFの詳細は、2010年9月に刊行した「Unlocking progress: MDG acceleration on the road to 2015」で詳しく紹介されています。

◆包括的な開発

 各国政府と協力して、MDGsの達成に向けた国家プログラムを実施

 UNDPは各国政府への技術アドバイスを通じて、貧困層向けのエネルギー確保や水資源管理、マイクロファイナンスの推進、不平等是正を目的とする包括的な国家イニシアティブを支援しています。2009年に行った調査では、MDGsに関してUNDPの支援を受けた政府の90%が、1つ以上のMDGを国家開発計画に取り入れていました。現在、60以上の国々がUNDPの支援を受けてMDGsに基づく国家開発戦略を採用しています。

事例1MDGsに焦点をあてた政策の導入・実施、データベースの構築

 UNDPはコロンビア政府に対し技術的、財政的アドバイスを行い、MDGsが政策課題と開発計画に反映されるように支援しました。この結果、コロンビア政府が策定した11の公共政策に対し、3億4600万米ドルの資金が調達されました。UNDPはさらに国連児童基金(UNICEF)と協力して、コロンビアのMDGsに関連する最新情報を取り込んだ社会経済データベースを開発しました。

◆各国の対応力の強化

 危機予防と復興、気候変動、経済危機の影響分析と対策を考慮して、各国のMDGs達成に向けた進ちょくが後退しないように支援

事例1モルドバで金融危機の影響を調査・政策提言し、国の政策に反映

 UNDPは2009年、金融危機がモルドバの現地コミュニティに与える影響に関する調査を専門家に委託し、市長、医師、社会保護士、学校長、民間セクターへのインタビューを行いました。また、モルドバ全土で、帰国した移民を含む社会的弱者を対象とした世論調査を行い、統計データに基づき、今回の危機が同国の社会経済状況に及ぼす影響を定量分析しました。さらに最終報告書には、モルドバ政府、企業、人々が直面する課題とニーズに対応した政策提言が盛り込まれました。この調査結果と政策提言は、実際に地方政府が財政支出削減をする際に活用されたほか、中央と地方政府間の継続的な対話の重要な基盤となりました。

事例2メキシコでの災害リスク軽減プログラム

 過去10年間、壊滅的な一連のハリケーンに南部沿岸を襲われていたメキシコでは、暴風雨、寒冷前線、火災などの被害を受けやすい人々への包括的な防災計画が必要とされていました。UNDPがメキシコ政府と同地方政府と協力して策定した長期的な災害リスク軽減プログラムは、メキシコの南東地域の7つの州で採用されました。UNDPはまた、現地コミュニティと組織に対して、リスクの分析と対策に関するトレーニングを実施しています。このプログラムの策定にあたっては、個々に応じた慎重な計画が必要となるジェンダー平等と異文化間の要因が考慮されました。UNDPは2010年以降、このプログラムをメキシコの他の州だけでなく、この地域の他の国々にも取り入れる計画です。

◆アドボカシー

 MDGsとその重要性が世界中で認識されるよう、啓発キャンペーンを通じて貢献

第8回「貧困との闘い」(2010年12月、アテネ)
事例1サッカーチャリティー試合「貧困との闘い(Match Against Poverty)

 UNDPは親善大使のロナウド選手とジダン選手が中心となって行うサッカーのチャリティー試合を世界各地で開催しています。2003年にスイスで開催されてから、これまでにスペイン、ドイツ、フランス、モロッコ、ポルトガル、ギリシャの各地で計8回開催されました。趣旨に賛同した有名サッカー選手からなるチームとクラブチームが対戦する試合には毎回多くのサッカーファンが集い、収益金はMDGs達成や災害復興のために使われています。2010年にギリシャとポルトガルの両国で開催された試合では、計約8万5000人が観戦し、130万ドル以上の収益金は同年のハイチ大地震とパキスタン洪水で被災した人々の支援に使われました。


Picture This 2010 東京写真展
オープニングセレモニーであいさつをする
ヘレン・クラークUNDP総裁
(2010年12月、東京)
©オリンパス株式会社
事例2Picture This 写真コンテスト

 UNDPはAFP財団、オリンパス株式会社と共に、全世界でMDGsへの関心を高め、協力と参画を促すことを目的とした写真コンテスト「Picture This:世界を写そう」を2009年から開催しています。2010年にMDGsをテーマに行われた第2回コンテストでは、世界各地から3400点以上の応募がありました。Picture This写真コンテストの受賞作品を中心とした写真展もこれまでに、ニューヨークの国連本部、南アフリカ、セネガル、東京、大阪、札幌など世界各地で開催されています。MDGs達成に向けた一般の人々の取り組みを伝える本コンテストは、多くの人々にアイデアと力を与えるものとして高く評価されています。