ミレニアム開発目標(MDGs)

 2000年9月ニューヨークで開催された国連ミレニアム・サミットに参加した147の国家元首を含む189の加盟国は、21世紀の国際社会の目標として国連ミレニアム宣言を採択しました。このミレニアム宣言は、平和と安全、開発と貧困、環境、人権とグッド・ガバナンス(良い統治)、アフリカの特別なニーズなどを課題として掲げ、21世紀の国連の役割に関する明確な方向性を提示しました。そして、国連ミレニアム宣言と1990年代に開催された主要な国際会議やサミットで採択された国際開発目標を統合し、一つの共通の枠組みとしてまとめられたものがミレニアム開発目標(Millennium Development Goals : MDGs)です。

開発のためのグローバル・パートナーシップ

 ミレニアム・サミットから5年後という節目にあたり、国連創設60周年を迎えた2005年9月、国連総会首脳会合(世界サミット)が開催され、170カ国の指導者が、国連ミレニアム宣言の課題とMDGsの進捗状況に関する包括的な討議を行いました。同サミットの成果文書では、開発、平和と安全、人権の相互関連性が再確認されると同時に、MDGsを含む開発目標の実現に向けた強い決意が表明されました。また、国連憲章に基づくマンデートを効果的に果たすよう国連の機能を強化することも合意されました。UNDPは引き続き、国連システム内外の様々なパートナーと連携し、MDGsとよりよい人間開発の実現に取り組んでゆきます。

ミレニアム開発目標(MDGs)達成に向けた国連の役割とUNDPの取り組み

 国連システムによるミレニアム開発目標(MDGs)達成に向けた取り組みは、以下の4つの柱によって構成され、グローバル・レベル、地域レベルそして各国レベルで、MDGs達成を支援しています。 国連開発グループ(UNDG)議長を務めるUNDP総裁は、国連事務総長の要請を受け、「キャンペーン・マネージャー」兼「スコア・キーパー」として、これらの取り組みを推進しています。また、UNDGの代表としてミレニアム信託基金(MTF)を管理し、各国からの拠出金を振り向けています。

進捗状況のモニタリング

 MDGsの進捗状況について、グローバルおよび国別に信頼性に足るデータを収集するとともに、体系的かつ継続的な報告を行う。

 国連事務総長は、2001年以来、年次報告書『国連ミレニアム宣言の実施に向けた進捗状況に関する報告書』を国連総会に提出し、MDGsの進捗状況を公表している。達成期限の中間点を迎え、2007年7月には、年次報告書を発表した。
 
 地域・国レベルでは、MDGsの進捗状況を簡潔にまとめ、国内および地域向けに啓発を主目的とする国・地域別ミレニアム開発目標報告書(MDGR)が発行されている。MDGR作成の過程において、ともすればグローバル・レベルにとどまりがちな目標とターゲットを自国の視点から捉えなおすことで、「自国の目標」を定めるねらいもある。
 報告書は、各国のオーナーシップの原則に基づき、国連国別チーム(UNCT)がファシリテーターを務め、NGOなどの現地のパートナーとともに作成されている。

UNDPの取り組み

 UNDPは、各国政府と協力してMDGsの進捗状況の国別報告プロセスを調整している。UNDPの途上国事務所は、それぞれUNDG、国連諸機関、WB、IMF、OECD、地域機関、専門家と密接に連携し、各国政府の報告書の作成を支援している。
 2007年には、インターネット上で世界各国のMDGs進捗状況をリアルタイムで確認できる『MDG Monitor』を立ち上げた。

研究・分析・提言活動

 MDGs達成に向けた効果的な開発戦略を普及させるための提言活動を行う。先駆的な取り組み、政策や制度改革、政策の実行の仕方、資金調達の方法などのグッド・プラクティス(成功事例)を調査・分析し、MDGs達成を主眼においた効果的な開発戦略を提言する。

 MDGs達成に向けた国際社会の具体的な行動計画立案を目的としたジェフリー・サックス教授が率いる独立諮問機関、ミレニアム・プロジェクトは2005年1月に『開発に投資する:MDGs達成のための実践的行動計画』を発表し、MDGs達成に必要な資金とその調達方法、政策、戦略などを提言した。

 地域・国レベルでは途上国各国に対して、MDGsを期限内に達成するために必要な資源を目標毎に特定する作業(ニーズ・アセスメント)を通じて、具体的な戦略立案を支援している。

UNDPの取り組み

 UNDPは、ミレニアム・プロジェクトを引き継いで2006年に設置された開発政策局の「MDGサポート・グループ」を中心に、各国の要請に応じた、MDGs達成を主眼に置いた開発戦略の立案や実施を他の国連機関と調整しながら支援している。また、MDGs達成を推進するための調査、グッド・プラクティスの収集と分析、各種ツールの作成と提供を行っている。

啓蒙・啓発活動

 MDGsがすべての人々に共有されるよう、先進国・途上国の双方で、MDGsに対する自発的なサポート運動を支援し、達成に向けたグローバルな気運を高める。これを推進するのがミレニアム・キャンペーンである。

 国連ミレニアム・キャンペーンは、貧困撲滅とMDGs達成を訴えるNGOのネットワークである「グローバルな貧困根絶運道(GCAP)」をはじめとする市民社会や国際的な議員連盟などと協力し、先進国・途上国の双方において、人々がMDGsについての理解を深め、自発的に行動をとる機運を高めている。10月17日の「国際貧困の日」には、世界で同時に「スタンドアップ・キャンペーン」を実施し、2007年には4,300万人が参加した。

 地域・国レベルでは、各国で啓発活動を行うNGOや市民社会をMDGsという共通の目的のもとに結集させ、効果的なキャンペーンを推進している。途上国の啓発活動には、貧困対策を重視した政策の実施を政府に求める活動等が含まれる。先進国における活動には、MDGsをはじめとする国際公約の遵守、債務救済等を含む開発重視型の政策を訴える活動が含まれる。

UNDPの取り組み

 開発途上国のUNDP常駐事務所は、各国のキャンペーンを支援する一方、独自の活動を通じてMDGsの理解促進と普及に努めている。

開発事業の推進

 国連システムは、MDGs達成の最大の責任は国連に加盟国する各国にあるという認識に基づき、達成に向けた成果重視型の支援を国連諸機関のマンデート(使命)、優れた能力および独自の知識や技術、リソースに基づいて提供している。

 MDGsは、各国において国の予算や行政の優先項目に裏付けられた具体的な活動に反映される必要がある。国連システムは、国連諸機関が途上国での活動の指針となる国連開発援助枠組み(UNDAF)をMDGsに沿って策定する一方、「貧困削減戦略文書(PRSP)」を策定した70以上の途上国において、政府、世界銀行およびその他のドナーと連携し、MDGs達成のための主要な手段としてPRSPプロセスを支援している。

UNDPの取り組み

 UNDPは、国連国別チームを率いる国連常駐調整官として、またUNDPの4つの重点活動分野を通じて、途上国のMDGs達成を支援している。

ミレニアム・ヴィレッジ

 人口の40%以上が1日米1ドル未満で暮らすサハラ以南のアフリカでは、貧困人口の大多数が農村地帯に居住し、環境や地理的条件による農業の低生産性、マラリアやHIV/エイズなどの疾病のまん延、高い輸送コストなど、極度の貧困の克服およびMDGsの達成を阻む要因に直面している。

 ミレニアム・ビレッジは、アフリカの農村部のコミュニティが貧困から脱却し、自助努力によって持続的に発展するための基盤づくりを目的とした取り組みである。現在、アフリカの10カ国で79村が「ミレニアム・ビレッジ」として、実用的な科学技術や農業技術を導入し、農業肥料や蚊帳供給の供給、井戸の設置など、保健・衛生、教育、食糧生産に資する基礎的インフラに投資する支援が展開されている。このプロジェクトは、UNDP、コロンビア大学地球研究所、NPOのミレニアム・プロミスの三者が協力し、日本政府も人間の安全保障基金を通じて資金を提供している。